人工島構想で株価急騰 千年の杜めぐる深い霧

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人工島構想で株価急騰 千年の杜めぐる深い霧

関西地盤の中小住宅会社が、なぜかロシアの巨大事業に名乗りを挙げ、株価が暴騰中。社長には気になる過去が。
(週刊東洋経済3月1日号より)

 14日夜、とあるパーティーが都内のホテルで催された。ロシア・ソチ市の人工島造成プロジェクトに関して、日ロ合弁体制が発足したのを記念してのものだ。黒海沿岸の同市では6年後に冬季五輪が開かれる。約200人の招待客の中で、つねに中心にいたのは久間章生・元防衛大臣。鏡割りに続いてソプラノ歌手の独唱が始まると、うたげはピークに達した。

 総額2000億円というこの巨大事業で、日本側パートナーを務めるのは大証2部の千年の杜。27日には当面の必要資金120億円の調達を狙い、下方修正条項付きの新株予約権(MSワラント)を大量発行する。同社の株価はこの1カ月半で20倍以上になるという急騰ぶりだ。

 とはいえ、同社の業績は壊滅的。今年3月期は売上高9億円に対し、最終赤字が46億円にも上る見通し。転換社債の権利行使が進んだおかげで、やっと債務超過を脱するという綱渡り経営だ。大株主の異動も激しい。昨年末には都内のモデルプロダクションや岐阜県内の不動産仲介業者などが突如登場した。

 大株主などをたどると、請負業者クリスタルをグッドウィル・グループに転売することに成功した人脈につながる。昨年3月に就任した横田尚之社長が「中国版バイアグラ飲料」の輸入販売でトラブルを起こした過去を持つという気になる事実もある。この点に関し、広報担当者は「ノーコメント。こちらから社長に連絡をとることはできない」と回答するのみだ。
(週刊東洋経済:高橋篤史、井下健悟)

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