人気路線でもリストラ、中国・インドで大ナタの航空業界

人気路線でもリストラ、中国・インドで大ナタの航空業界

ついに航空業界でも路線リストラが始まった。

全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は、アジア路線の休止や減便に着手する。ANAは関西国際空港-大連・瀋陽(大連経由)を休止するほか、成田国際空港-上海・ムンバイ(インド)線を大幅減便。JALも成田-上海・北京・バンコクの3路線を3月末まで一時的に減便すると発表した。

これまで国内線や欧米など長距離線を減らす一方、積極的に拡大してきたのが中国、インドを代表するアジア線だが、リーマンショック以降、単価の高いビジネス客の渡航が急減。成長戦略の要にもメスを入れざるをえない状況に追い込まれている。

象徴的なのがANAのムンバイ線だ。インドに進出する自動車関連のビジネス需要を狙い、2007年9月に鳴り物入りで全席ビジネスクラスの路線を就航した。しかし景気悪化に加え、昨年11月のテロを境に搭乗率は5割から2割まで減少。「需要回復が見込めない」(ANA関係者)と、2月2日から毎日運航を週3便に減らす。

デリー便を飛ばすJALも機材大型化やファーストクラス導入など矢継ぎ早に強化してきたが、今後は縮小を迫られる可能性も出てきた。


上海線は供給過剰に

一方、両社が最も危機感を持つのがかつては虎の子だった中国線だ。ANAの上期の国際線方面別の旅客単価は、中国方面だけが前年同期比で下落。将来の需要増を見込み座席数を増やしてきたが、逆に旅客数が減少して採算が悪化している。中でも競争の激しいのが上海線。07年には羽田からも就航可能になり、JAL、ANA、中国系航空会社などを合わせた成田、羽田の首都圏空港からの便数は1日約20便にも膨らんでいる。

これに対して航空関係者は「昨年初めから供給過剰とは認識しているが、実績作りが重要」と漏らす。将来、需要が拡大したときのために、優位な発着枠を確保しておきたい思惑もあるようだ。

特に国際線を中国に集中するANAは中国政府との人脈が太く、信頼感を醸成してきた経緯もある。ANAが今回休止を決めた大連線は、07年に6割あった搭乗率が08年度上期に4割弱に減少。にもかかわらず6月に増便するなど戦略がちぐはぐだ。結局、年末は2割まで急減している。同じく休止を決めた瀋陽線は08年度上期の搭乗率が3割、直近は1割未満に下落するなど崩壊状態。もしこれが国内線ならもっと早く見切りをつけていたかもしれない。

“聖域”ともいえる中国、インドで大ナタを振るい始めた両社。近く発表される来年度の運航計画は、一段と厳しいものになるだろう。
(富岡耕 =週刊東洋経済)

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