日本の自動車業界と自動車部品業界の見通しを変更《ムーディーズの業界分析》

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コーポレート・ファイナンス・グループ
自動車業界
シニア・バイスプレジデント 八巻 純一
自動車部品業界
AVP アナリスト 澤村 美奈
アナリスト 桜林 潤

ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、2008年12月25日、日本の自動車業界および自動車部品業界の見通しを安定的からネガティブに変更した。この見通しは、今後12~18カ月間の業界のファンダメンタルな事業および信用の状況に対するムーディーズの見方を表すものである。

見通しの変更は、景気の悪化、世界的な需要減退の加速、継続的な価格競争が、格付け対象発行体の業績を下押しし、財務の柔軟性を低下させるとのムーディーズの見方を反映している。市場の見通しは極めて不確実性が高く、不透明である。

また、米国を含む多数の国における金融システムの不安定化を要因として、消費者の借入能力が低下しており、これが全体の需要の大幅な減少をもたらしている。世界の金融システムはストレスに晒されており、自動車需要はまだ底入れしていない。その結果、日本の自動車メーカーは相次いで今年度の減産を発表しており、来年度はさらに生産台数を削減するとみられる。

世界の自動車需要の低迷は2009年を過ぎても続くとみられる。この期間は売上高の成長が見込めず、予想される需要の減少の影響が発行体のコスト削減能力を上回る恐れがある。

日本の全ての自動車メーカーと自動車部品メーカーにとって、収益とキャッシュフローの生成がますます困難になるとみられ、各社は販売数量と売上高が減少する中で、円高環境においても、自社の製品ポートフォリオから十分な利益率をどのように確保するかという課題に対処する必要がある。

ムーディーズが格付け対象としている自動車メーカーは、トヨタ自動車、ホンダ、いすゞ自動車、日産自動車、三菱自動車である。

ムーディーズが格付け対象としている自動車部品メーカーは、デンソー、ブリヂストン、タカタ、曙ブレーキ工業、日本精工、NTNである。

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