りぼん男性編集長が仕掛ける異色アイドル漫画 20~30代女性が小学生向けコミックに熱狂

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牧野あおい『さよならミニスカート』ヒットの仕掛人、『りぼん』の相田聡一編集長(撮影:尾形文繁)
男子生徒:「変質者怖がってるくせに なんでそんなスカート短けーの? そんなに怖いならスラックス履けよなー 結局さぁー 男に媚び売るために履いてんだろ? スカートなんかさー 説得力無ェんだよ そんなの触られて当たり前…」
主人公:「(ドン)スカートは あんたらみたいな男のために履いてんじゃねえよ」
痴漢被害に遭った女子生徒:「もーっ ひっどぉ~いっ 沖田くん!ホントに恐かったんだからぁ〜っ 今度そーいう事言ったらおこるよっ(ぷんっ)」「もーっ みんな大げさっ!たかが太ももだよお!?」
男子生徒:「やっぱモテるのは あーいう子だよなーっ」

これは、高校のアイドル的存在である女子生徒が、変質者の被害に遭ってしまった――そんな緊迫した場面でのクラスの様子を描いた、ある漫画の1シーン(一部のセリフを抜粋)だ。短い掛け合いにもかかわらず、性的被害をめぐっての男と女、そして女と女の間の深刻な断絶を鋭くえぐり出している。

発行部数10万部超え

主人公・神山仁那が、「ミニスカが性被害を誘発する」と主張する男子生徒に啖呵を切る『さよならミニスカート』第1巻の名シーン(©牧野あおい/集英社)

この漫画は、牧野あおい作『さよならミニスカート』。今、ヒット中の少女漫画だ。連載されているのは、小学生向け月刊少女漫画誌『りぼん』(集英社)。

2018年の9月号から連載が開始され、2018年11月に単行本第1巻が発売されるや、たちまち発行部数は10万部を超え、重版もかかっている。

少女漫画としては「かなりのヒット」(集英社宣伝部雑誌宣伝課で本作の宣伝を担当する宮崎響氏)だ。というのも、本作を手に取っていくのは「20~30代くらいの若い女性も多い。たまに男性もいる」(都内のある大型書店販売員)。

つまり本来なら『りぼん』作品を読まない年代性別にまで、読者層が広がっているのだ。その理由を探るうえで、まずは作品について簡単に紹介しよう。

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