2014年も、「円安」で決まり! 怖いのは、フランスと「じぇじぇカーブ」!?

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結局、一方的に円高が進んでいる状況ではなく、長い目で見れば非常に幅広いレンジの中で推移しているだけに過ぎません。にもかかわらず、日本の輸出企業の競争力が低下しているのだとしたら、それは円高以外の要因があると考えるべきでしょう。そういう輸出企業は、今後、円安が進んだとしても、恐らく競争力を回復できずに終わるでしょう。つまり、すべての輸出企業にとって円安がポジティブ材料であるとは限らないということです。

中野 円安であろうが無かろうが、競争上の優位性をきちっと確保してきた企業であれば、この円安は追い風になるということですね。

実は、内需企業が恩恵を受けるアベノミクス

藤野 ただ、今回の景気回復局面を見ていると、円安だから輸出産業によって引っ張られていると考えるのは、いささか早計かも知れませんね。だって、アベノミクスで輸出が伸びているのかというと、決してそうではないのですから。じゃあ、何がアベノミクスで良くなったのかというと、内需なんですよね。

渋澤内需って、たとえば?

藤野 銀行、不動産、百貨店、物流、外食などです。2012年の冬にアベノミクスが始動した頃、ある外食産業の経営者が「ステーキが売れ始めたから景気は回復する」と言っていたんですよ。この時はまだ所得が上がっていたわけではない。しかも、株価は上がり始めていましたが、その外食チェーンに来るお客様の大半は、恐らく株式投資をしていないでしょう。資産効果の恩恵を受けているわけでもない人たちなのに、ステーキを食べ始めた。つまり、アベノミクスで気分が良くなり、消費をし始めたわけです。それが、今回の景気回復につながっている面はあります。

渋澤 僕自身は円が今後、どのタイミングがわからないけれども、非常に厳しい状況に追い込まれていくと思う。確かにアベノミクスの効果は出ていて、景気回復期待は強まっているけれども、マクロ的に見れば、政府の債務がどんどん増えている。今から15年ほど前、政府債務がGDPと同額になった時、「これは危険だ」という声が方々から上がったけど、今は対GDP比で240%台と指摘されているからね。この状況をどう考えれば良いのか。

しかも、発行された国債の大半は日銀が買い取るという仕組みになっている。理論的に大丈夫という声があるけども、子供の眼から見たら「王様は裸だ!」と言うのではないでしょうか。

中野 政府の借金は「これだけあると危険水域」というような絶対的な基準がありませんからね。巨額の債務を抱えていたとしても、結果的に国内で上手くファイナンスが出来れば、問題ないということになります。ただ、このままだと段々麻痺して、気が付いたらとんでもない状況に陥っているという恐れはあります。

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