アーバン+パークで東武野田線はこう変わる 関東私鉄で唯一の外縁周回路線を強化

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そもそも野田線には、臨時特急列車の扱いだが、大宮発・浅草行きの「スカイツリートレイン」が毎週土曜日に1便だけ走っている。また、昭和40年代には、大宮から日光・鬼怒川方面への不定期の優等列車(急行)も走っていたという。

現在の野田線は、大宮や春日部、柏といった拠点駅から1~5駅ほどを利用する乗客が多く、大宮―柏といった都市間を移動する乗客はあまりいない。速達列車を導入すれば、利便性が向上し、利用客も増える可能性がある。

また、千葉方面から東武沿線の観光地域である日光・鬼怒川や佐野、館林方面への直通列車も、今のところない。たとえば、船橋発・日光行きのスペーシアが走れば、観光への効果も絶大だ。

JRでも周回路線強化の流れ

愛称導入でイメージアップを図ると同時に、そうした大胆な施策によって、東武アーバンパークラインが大きく変貌することを願いたい。そのためには、単線区間がまだ残っている(春日部―運河間など)点や、通過のための待避線が少ない点などが、今後の課題となりそうだ。

JR東日本も「メガループ構想」と称し、武蔵野線や南武線、横浜線といった路線で、快速列車の設定や乗り換え駅での接続調整、増発などによる強化を進めている。野田線は、関東の私鉄で唯一といってもいい、首都圏の外縁部を周回する路線。それをどう発展させるのか、東武の手腕が試されている。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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