「プチ個性」を出したい若者たちの"一盛り"事情 「食べものオン食べもの」に「豆乳アイス」・・・

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このように、現代の若者はリメイク感を前面に押し出すのではなく、ちらりと垣間見せて、さりげなく“プチ個性”を醸し出している。

ひと手間とはいえ、手間暇かかるのに、いったいなぜ今の若者は自分たちでリメイクするのか。

かつてモノを持つということがステータスで、豊かさの象徴だった時代があった。どこどこのブランドを持っているというモノ自体を重視し、それが自慢の対象となっていたと聞く。

しかし、現代の若者は高価なものを所有し、わかりやすいアピールをすることにはあまり価値を置かない。それよりも大事なのは、横にそっと添えるように、さりげなく個性を出すことだ。

人と同じにはなりたくないが、さりげなく個性は出したい。そんな若者たちの心理が、この「あえてひと手間」には隠されているのではないだろうか。

原田の総評:DIYできる「余白」のある商品を

現役大学生たちの「プチDIY」はいかがでしたでしょうか?

大人世代からすると、「こんなもんはDIYなんかじゃない!」と違和感があるかもしれません。しかし、今どきの若者たちの間では、むしろこの「プチ」こそ大きな評価ポイントになっているようです。

本気のDIYは、とにかくお金も労力も時間もかかり、今の若者たちはそこまでしたくないようです。最終ゴールが「インスタ映え」ということを考えると、本気のDIYは費用対コストが悪すぎます。

また、本気のDIYばかりをインスタに載せると、若者たちの間では本気すぎて周りから「イタいやつ」と引かれてしまいます。あくまで無理せず、さらっとDIYを行い、「あの人、無理せず、程よく洗練されている」と周りから思われたいのが今の若者たちの願望のようです。

企業はこの若者たちの間で広がる「プチDIY欲求」を理解し、この要素を既製品に組み入れるとよいかもしれません。完全な既製品として売るのではなく、かといって大きなDIYの余地を残すのでもなく、あくまで「ちょっとしたいじれる余白」を既製品に残しておくことで、今の若者たちは周りから「頑張らないのにセンスがいい」と思われるために、その商品にプチDIYを施してくれるかもしれません。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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