「日本の常識」だけでは成長の限界がある Origami康井義貴CEOと語る(下)

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起業家として「論理を超える感性」をもてるか

――ファッション・ライフスタイル分野での起業というのは決めていたのですか。

康井:僕がファッション・ライフスタイル分野から始めたのは、個人的にファッション・ライフスタイル業界が好きだというのもありますが、投資家としての合理的な側面もあります。従来のカタログ型ショッピングではなく、セレンディピティショッピング(衝動買い)市場での“ボリューム”を考えると、ファッション・ライフスタイル市場がいちばん大きいと判断し、ここから取り組んでいます。

一方、僕らは「コマースのあり方を変えたい」という大きなミッションをチームで共有しており、ファッション・ライフスタイル分野のサービスという発想でなく、いかにこのミッションを達成するか――という思想でサービスを設計しています。スマートフォンの普及で、個人消費の在り方がオンライン、オフラインともに大きく変わろうとしている中で、新しいショッピング体験を提供していきたいと考えており、来年から少しずつ新しいカタチを示していければと思います。今は、「大きな山を登っている途中」という思いで取り組んでいます。

ロジカルにというだけではなく、“やりたいこと”をやっているという感覚に近いかもしれません。「明日から半年休暇をとっていいよ」と言われても、明日からまったく同じように仕事をすると思いますし(笑)。

伊佐山:今朝も起業家と会っていたのですが、日本だとマッキンゼーなどコンサル出身の起業家が多いですよね。コンサル出身者はさまざまな事業を知り、数字と資料で分析する中で、業界の非効率な点や将来の課題に気づくわけです。まさに、起業する材料はある。ただ、全員が起業家に転身するわけではない。では、何が「起業家」へと変わる後押しをするのでしょうか――。僕は「ロジック(論理)を超えたインスピレーション(感性)」だと思います。どこかのタイミングで個人の「インスピレーション(感性)」に響かないと、起業家にはなれない。

ロジックを超えた「思い」が喚起されなければ、また少しでも嫌いなことであれば、ヨッシーや今の私のように24時間、365日間、自分のビジネスのことを考え続けられないと思いますね。

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