「日本の常識」だけでは成長の限界がある Origami康井義貴CEOと語る(下)

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康井:ベンチャー企業では、いわゆる就職活動のような1次面接、2次面接を経て最終面接で合否を決めるという経緯で人は採用しません。スタートアップにとって欲しい人材とは、よくわからないけど気がついたらインボルブ(巻き込む)していて、机を並べているような人(笑)。率先して行動する、いわゆる「プロアクティブか、どうか」がスタートアップで働くうえで非常に重要な指標と考えています。座って待っているのでなく、自分からどんどん首を突っ込んで仕事を創り出す――。そういうタイプの人と一緒に仕事がしたいので、お互いリクルーティングしているというより「出会う」ということが多いですね。実は、これまでエージェントなどを使って雇ったケースはありません。もちろん、今より会社が大きくなって、一定のフェーズを超えたら、お世話になるとは思いますが。

人の中に入って“ハートをつかめる人”になれるか

伊佐山:僕がヨッシーと共に働いて印象に残っているのは、DCMの投資先のポケラボの一件です。ポケラボは2012年、グリーに138億円で買収されるなど、現在ではよく知られた存在です。ただ、投資を決めた当時は、秋葉原にファウンダー2人とアルバイト十数人の「なんだかよくわからない若者集団」という時代。僕も月に1度、シリコンバレーから日本を訪れて取締役会には出席していたものの、日々の支援はできない状態でした。だから、僕はヨッシーに「僕が日本にいない間、面倒をみてくれ」というミッションを与えました。

過去の経験から、人によって「面倒をみてね」と言ったときの反応は違います。財務的な支援やプレゼンテーションを手伝うといったコンサルタント的なアプローチをする人が多い中、ヨッシーは少し違う方法をとりました。それは「若者連中と飲みに行き、“ハートをつかむ”アプローチ」。当時、ポケラボは会社がどんどん大きく成長していく時期だったこともあり、「組織の歪み」が出てくる段階。そういうのは“飲み会”に出ればわかるじゃないですか(笑)。現場の若手と飲みに行き、輪の中に入り、マメに会社の本当の現状をヒアリングしてくれました。

僕は、取締役会でファウンダーから話を聞いていましたが、それだけでは実態はわからない。会社の本当の姿を知らないと支援できない。僕は時間がなかったので、本当に助かりました。

人の中に入って、人をまとめられる――。その頃から、ヨッシーは金融業界、ファンド業界、コンサル業界で、いわゆる「監督」をするのではなく、「プレーヤー」として事業会社を起業するほうが向いているタイプなんだろうなと感じましたね。

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