リクルート、37歳の司令塔が描く「新戦略」 リクルートの若き経営室室長と語る(上)

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瀧本:僕もリクルートのことはよく知っていますが、異様に人事異動が多いですよね。顧客にしてみると迷惑なくらい。しかもその部門の人事権を持っている人から命じられるとは必ずしも限らなくて、遠くのほうから降ってくるような感じですよね。

今村:それでも新しい血を入れ続けるべきだという信念でやっています。役員ですら、ほかの企業に比べると異動は早いと思います。

瀧本:創業者の江副浩正さんの頃のリクルートと、現在の株式公開を目指しているリクルートでは、いろいろなことが変わってきていると思います。リクルート的なものとしては、何が同じで、何が変わったと思いますか。

今村:おそらく創業以来54年間ずっと変わらないDNAがあると思います。それは社内の言葉で言うと「当事者意識」というものです。結局、自分が何をやりたいかということが、組織の意志よりも問われる会社なんですよ。江副さんが退いた後、社長は何代も変わっていますが、そのDNAは変わっていないと思います。

リクルート社員は筋肉だけ?

瀧本:じゃあ、変わろうとしているものは何ですか。

今村健一(いまむら・けんいち)
リクルートホールディングス 経営企画室室長 兼 人事統括室室長
1976年生まれ。東京大学工学部卒業後、1999年リクルート入社。旅行情報事業部営業部、HRエリアカンパニー企画統括室カンパニーオフィサーなどを経て、2013年より現職。

今村:まずはここ数年、グローバルの展開が加速しています。それから、これまではある種「メディア業」をやっていましたが、今は派遣ビジネスなどマッチングビジネスが拡大していたり、広告課金ではなく従量課金のビジネスモデルが増えてきたりもしています。そんなふうに対象とする地域とビジネスモデルが大きく広がろうとしている今、当事者意識を持ちながらどう変化していくか。僕のメンバーには「変身しろ」とメッセージを送っています。変化に対応するだけではなく、自分が変わらなければならない。

瀧本:今村さんは経営企画室という、いちばん変化を感じられるところにいるわけですが、今村さんがその部署にいるのは「変化力がありそうだから」でしょうね。どこでその変化力を身に付けられたのか、興味がありますね。というのも僕のリクルートに対するイメージというのは、ぶっちゃけて言ってしまうと、元気はいいけれどちょっと賢くなさそうな人(笑)を大量に採って、突撃営業させるような印象が強かったのです。

今村:わかります(笑)。筋肉だけはありそうっていういイメージですよね。

瀧本:でも実際、リクルートの客になってみたり、内部の人とお付き合いしてみると、印象がガラッと変わりました。情報誌やウェブサイトなど媒体自体が緻密に構成されているし、一律ではなく多様な人材を採用して適材適所で使っているという、別の顔が見えてきた。一見そうは見えないけれど、本当は戦略的に組み立てられている会社だとわかりました。

これだけ大企業なのにつねに新事業に挑戦し続けていて、打率が高いかどうかはともかくとして、少なくともヒットの数は多い。実はみんながうらやましいと思う会社ですよね。「R25」とかクーポンサイトの「ポンパレ」とか、ヒットを次々と放っていけるのは、その当事者意識と変化力があるからですか。

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