デカトロンを迎え撃つ「ワークマン」の戦略 人気の登山パンツや滑らない靴の新作を発表

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「WORKMAN Plusにより、当社がカラフルなウェアを製作できることの認知が広がった結果だと思う。人手不足の中、画一的なウェアではなかなか人が集まらない。建設現場だけでなく工場ラインや運送業など、あらゆる現場でファッショナブルな制服が求められているようだ」(土屋氏)

今回、初めて新作発表会に法人顧客を招待したのも、法人客のニーズを直接聞くことが目的だという。この日、ゼネコン、製造業、運輸、デリバリーサービスなど13社の大手法人客が来場し、新作の説明に真剣に耳を傾けるとともに、別室に設けられた商談室で早速商談に入る姿も見受けられた。

店舗開発も進める。

ワークマン土屋哲雄常務取締役(筆者撮影)

「WORKMAN Plusは既存の建設系顧客と新規一般顧客の来店時間帯がきれいに分かれている。どちらも大切な顧客なので、双方が満足する売り場を作りたい。

今考えているのは、時間帯でディスプレーが変わる仕組み。円形の台座にカジュアルウェアと作業着を着たマネキンを背中合わせにディスプレーしたものが回転したり、壁のパネルもスポーツのイメージと建築現場のイメージがスクロールで変化したりと、時間帯で自動的に変化する仕掛けを作る。音楽や香りも変化すると面白いだろう。すでに店舗の設計は出来上がっており、現在、出店候補地を探しているところだ」(土屋氏)

首都圏の国道16号線内のエリアで、自社物件として出店できる土地を探しており、来年3月までには出店したい意向である。

日本初進出「デカトロン」へ宣戦布告

3月29日、フランスの巨大スポーツ・アウトドアショップ、デカトロンが兵庫県西宮に日本進出第1号店をオープンした。約1800平方メートルの売り場で30ジャンル以上のスポーツ・アウトドアコーナーを設置し、すべての売り場でオリジナル製品を展開する計画だ。

デカトロンは価格訴求力のある高機能ウェアが人気となっており、日本ではワークマンと競合すると見られている。ワークマン自体も、「関西地区のワークマン120店舗でアウトドア売り場を強化して(デカトロン)包囲網を作ります。1対120の数の優位で西宮戦争を制するつもりです」(プレスリリースより)と高らかに宣戦布告、一歩も引く構えを見せていない。デカトロンとワークマンの競争がスポーツ・アウトドアウェア市場を活性化させると期待する向きもあり、今年もワークマンから目が離せそうもない。

近藤 克己 フリーライター

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こんどう かつみ / Katsumi Kondo

1966年生まれ。福島県出身。明治大学文学部史学地理学科考古学専攻卒。ロジスティクス分野の業界紙記者、IT&家電製品の月刊誌記者・編集長を経て、独立。現在、フリーライターとして活動中。得意分野は流通、物流、生活家電。

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