外部からスカウト、資生堂が異例のトップ人事 スカウト社長の誕生は73年ぶり、2度目

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健康上の理由から社長を退いた前任の末川久幸氏(社長在任:11年4月~133月)に代わり急遽、社長に再登板した前田社長の課題は、13年3月期に8年ぶりの最終赤字に転落した収益構造を抜本的に改善することだった。

そこで取り組んだ施策の1つが、全国1万店強ある化粧品専門店における、店頭在庫の削減だ。

従来、営業社員の評価体系が、卸売りを行う販売会社への売り上げと店頭売り上げの二つあったが、これを14年度からは店頭売り上げに一本化。専門店の活性化を販売会社に任せるのではなく、営業社員自らが店頭売り上げの向上に励むようにインセンティブの照準を合わせる。同時に、専門店との取引体系を変更。専門店専用ブランド「ベネフィーク」の卸値を引き下げる一方、リベート算定基準を店頭売り上げ金額に一本化。つまり、専門店自身が収支計算をしやすくし、独自の宣伝投資をやりやすい仕組みにする

半年で大きな成果

今回のトップ交代は、これら一連の改革に一定のメドがついた面が大きい。24日の記者会見で前田現社長は、「(社長の)在任期間はまだあるが、自分のミッションは果たしてきた」と語った。後継者として選んだ魚谷氏については、「マーケティング統括顧問に就任して、わずか半年で多大な成果を上げた。これまでの実績も素晴らしい」と語った。

現在59歳の魚谷氏は前田氏よりも7歳若く、経歴も多彩だ。1977年ライオン歯磨(現:ライオン)に入社し、米国コロンビア大学経営大学院でMBAを取得。その後、日本コカ・コーラでマーケティング本部長、副社長、社長、会長を務めた。

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