ボーイング機墜落でリース業界が「巻き添え」 不幸な事故の裏で誰がとばっちりを受けたか

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2018年10月にはライオン航空のボーイング「737MAX8」がインドネシアで墜落した(写真:ロイター/アフロ)

世界中の旅行客の背筋を凍らせた、米ボーイングの新型小型旅客機「737MAX8」の墜落事故。その余波は思わぬ形で、航空機業界以外にも飛び火しそうだ。

この3月10日にはエチオピア航空が首都アディスアベバ近郊で、2018年10月にはライオン航空がインドネシアで墜落。どちらも機体は「737MAX8」だった。

わずか半年の間に2度も墜落事故が起こったという現実。これを受けてアメリカでは、トランプ大統領が同型機の運航停止を求める大統領令を発令。アメリカより一足早く運航停止措置を取った中国に続き、欧州、中東をはじめ世界各国で運航停止”ドミノ”が広がっている。

原因は機体を制御するソフトの不具合?

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「737MAX」はボーイングが2017年に引き渡しを始めた最新鋭の小型機だ。現時点で同社の受注残の約8割を占めるとも言われ、それだけに運航停止が業績に与える影響は大きいものとなりそうだ。大統領令を受けて同社は同機の出荷を停止。生産は継続するものの、安全性が確認できるまでは出荷再開は不可能だ。その間、同機の売り上げが立たない一方で、調査費や改修コストは積み上がっていく。

墜落事故の原因はまだ究明されていないが、どうやら機体そのものではなく、機体を制御するソフトウェアの不具合、という可能性が浮上しているという。だとすれば、改修に時間はそれほどかからず、出荷も早期に再開できるとの見方も出てきた。「737MAX」は4600機超の受注残を抱えているとみられ、運航停止の解除後にも出荷ペースを取り戻すとされる。

ただし問題は、機体の信頼性だ。いくら改修が完璧だろうと、消費者のイメージが悪化すれば、航空会社がボーイングの競合である欧州エアバスへの切り替えを検討してもおかしくない。実際にアメリカのブルームバーグによれば、墜落事故の当事者であるライオン航空は現在残っている契約を止め、エアバスに切り替えることを検討していると報じた。近年、エアバスは納入機数でボーイングに肉薄してきており、これを機に逆転となる可能性もでてきた。

近年のボーイングとエアバスの角逐(かくちく)の動きは、『会社四季報 業界地図』(東洋経済新報社)で確認できる。もっとも、詳細にページをめくっていくと、今回のボーイング機墜落で影響を受けるのは、航空機メーカーだけではないこともまた、わかってくる。意外な業界も少なからず影響を受けることになりそうなのだ。その代表格がリース業界である。

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