「夜明け前がもっとも暗い」--。賃金カットに踏み切る日本電産、その背景にあるものとは?

「夜明け前がもっとも暗い」--。賃金カットに踏み切る日本電産、その背景にあるものとは?

日本電産はこのほど、一般社員の賃金を2月から1~5%カットする方針を明らかにした。同社は世界的な不況のあおりから、2009年3月期の営業利益を期初の増益見通しから一転、前期比28%減に下げている。この出口の見えない需要低迷期を、合理化策の徹底で乗り切る方針だ。

「どんなことがあっても、正社員の雇用を保とうという気持ちでいる。賃金カットがあるかもしれないけど、それは耐えてくれと社員に伝えた」。9日に日本電産本社(京都市)で行われた賀詞交換会の席上、永守重信社長はそう発言した。賃金カットはその場で明らかにされたもので、国内のグループ社員約1万人が対象(業績が堅調なグループ会社の社員を除く)。同時に、昨年12月から実施している役員報酬の減額幅(最大30%)も2月から最大50%に、また1月から実施している管理職員給与の減額幅(最大7.5%)も最大10%に拡大する。
 
 賃金カットの背景には、需要低迷による業績の蹉跌がある。今期は好採算のネットブック(ミニPC)向けHDD用モーターが牽引し、前期に続き過去最高益を更新する見通しだった。ところが、納入先製品の販売不振を背景に「昨年の11月中旬ごろから景色が一変した。あっという間に、売り上げが激減した」(永守社長)ため、業績見通しの下方修正を迫られた。不運は重なり、12月には富士電機ホールディングスのグループ会社を買収する計画も破談となった。

「売り上げ減少の半分は需要減によるもので、残りの半分は(企業の)在庫圧縮が要因。早ければ2月くらいから、在庫がはけた分だけ注文が戻るかもしれない」と、永守社長。強気ともとれる発言の一方で、「今期は超強気というわけにはいかないが元気よくやっていこうやないか、来期も増収増益は無理としても利益率を伸ばすことを目指そうやないかと社内で言っている」と、慎重な需要見通しに基づいた発言も。設計変更などによるコスト削減を徹底する方針で、一般社員の賃金カットもその一貫というわけだ。

永守社長はこれまで、派手なM&A戦略の傍ら買収先企業社員の雇用維持を貫いてきた。今回の賃金カットはその雇用維持を優先するためのものであり、社員にとっても比較的受け入れやすい施策であろう。「夜明け前がもっとも暗いが、夜明けは必ずやってくる」(永守社長)--。日本電産は需要回復を静かに待つ。
(梅咲 恵司)


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
◎本2008.03  742,126 76,833 62,683 41,156
◎本2009.03予 630,000 55,000 43,000 28,000
◎本2010.03予 550,000 50,000 50,000 30,000
◎中2008.09  371,658 40,218 43,057 27,840
◎中2009.09予 220,000 18,500 18,500 10,000
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
◎本2008.03  284.0 55 
◎本2009.03予 193.1 60 
◎本2010.03予 206.9 60 
◎中2008.09  192.1 30 
◎中2009.09予 69.0 30 

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