東芝が中国サッカーを支援する理由

「B2B」で巻き返すニッポンブランド

 日本の製品は、高い品質を誇りながら、中国マーケットにうまく食い込めていない。その最大の理由は、ブランド戦略の甘さにある。この連載では、北京電通に7年駐在経験があり、グローバル企業のブランド戦略のコンサルティングを手掛ける著者が、中国人の心を掴むためのブランド創りを解説。教科書的なブランド論ではなく、ビジネスの現場で起きている事実をベースに、実践的なブランド戦略を発信する。

エレベーターのブランドイメージ

皆さんは、エレベーターに乗った時、製造メーカーを気にするでしょうか? 日本のビルには、三菱電機、日立、東芝などのエレベーターが当たり前のように設置されていますが、北京に来て間もなく、私は「ThyssenKrupp」という聞いたこともないブランドのエレベーターによく出くわすことに気づきました。空港の動く歩道やエスカレーターなどにも採用されています。

それ以来、北京に屹立する最新のオフィスビルやホテルでエレベーターに乗るたびに気になってブランドをチェックしていますが、ドイツのメーカーであるこのThyssenKrupp(ティッセンクルップ)をはじめ、フィンランドのKONE(コネ)、スイスのSchindler(シンドラー)など、欧州ブランドが幅を利かせています。世界シェアNo.1のアメリカのOTIS(オーティス)のエレベーターも時々目にします。

そして実際に乗ってみて気になるのが、これら欧米ブランドのエレベーターの品質です。あくまで私個人の感覚ですが、どうも動きがギクシャクしている感じがしますし、たまに停止階のフロアとの段差が生じる、修理・点検で停止していることが多いなど、日本製品より劣る気がしてなりません。シンドラー社のエレベーターが2006年東京都港区で起こした死亡事故も忘れることはできません。

一方、最近の日本の高層ビルのエレベーターは、滑るように上昇・下降し、トップスピードから滑らかに減速して停止してくれます。その静粛性、快適性と安全性、省エネ技術は間違いなく世界のトップレベルです。事実、上海や台北の超高層ビルには三菱電機や東芝の高速エレベーターが採用されています。

しかし、圧倒的な品質を誇るはずのニッポンブランドが、中国市場で欧米ブランドに売り負けているのはなぜでしょうか。私は、ブランドによる差別化ができていないことが理由の一つであると思います。家電で経験した、「品質で勝ちブランドで負ける」現象がここでも起こっています。

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