Airbnbは、なぜ旅人に受け入れられたのか 「おもてなしのプロ」が語る新しい旅の価値

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創業からこれまでのAirbnbはマッチングのテクノロジーとデザイン性を軸に展開してきた。そこへもう少し「おもてなし」の要素を強化したいということで、私に声がかかった。私はジョワ・ド・ヴィーヴルというホテル開発会社の創業者で、その経験を生かせる。

――ジョワ・ド・ヴィーヴルの経験をどう生かせるか。

ジョワ・ド・ヴィーヴルは私が26歳の時に始めた会社。いわゆるブティックホテルといわれるホテルを開発・経営していた。建物自体も部屋数も小さなホテルだ。デザイナーが手掛ける個性がある内装やデザインで、1軒1軒同じものはないというようなものを作った。おもてなしの世界においては、私は従来のホテルが提供しないような体験を提供する破壊的な革新者だった。

Airbnbも現代における破壊的な革新者。ブティックホテルでの経験を生かせる。従来のホテルでは決して提供できないものを、ゲストに提供しようとしているところだ。

ゲストとホストの両方から手数料収入

――Airbnbの収入は。

ホストから予約料の3%、ゲストから予約料に応じて6~12%を手数料として受けとっている。このビジネスモデルが非常に成功しているので、有名投資家が惚れ込んで投資してくれる。

たとえば米フェイスブックの最初の社外投資家のピーター・ティール氏や、米ネットスケープコミュニケーションズの創業者でベンチャーキャピタルも持っているマーク・アンドリーセン氏、米リンクトインを始めたリード・ホフマン氏などが投資をしている。米国の俳優、アシュトン・カッチャー氏も株主の1人だ。

――ホスト、ゲスト間でのトラブルも起こるのでは。

まずホストはリクエストがあったら誰でも泊めなければいけないわけではなく、ゲストを受け入れるかどうか決めることができる。受け入れる基準をあらかじめ作っておくことも可能だ。フェイスブックの「友達の友達」までに限定するとか。詐欺などがないように、ホストはゲストのパスポートや運転免許証などの身分証明書を確認できる。

先ほども触れたレビュー制度も有効だ。ゲストとして泊まろうとしている人が過去にその人を泊めた別のホストから信用されているかどうかを、ゲストを迎え入れる前に自分で確認することができる。

ホスト向けの損害補償プログラムもある。たとえば赤ワインを絨毯にこぼしてクリーニングに出しても落ちないというようなとき、絨毯の写真をAirbnbに送れば補償する。最高100万ドルまで損害を補償するので、その点は安心してほしい。

――今後日本ではどのように展開していくか。

裾野を広げていくという意味では、ホスト向け講義に来てくれた人が「もっと積極的にやろう」と思ってくれたり、ホストが連れてきた友達や家族が「自分もやりたい」と思ってくれたらいい。

あとは日本の皆さんがどこか外国に行くときに、ゲストとしてAirbnbを使ってみて、そこから「私もホストをやってみよう」と思ってくれたらうれしい。まずはゲストとして使ってほしい。それがきっかけでホストを始める人は多いので。

長谷川 愛 東洋経済 記者
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