《若手記者・スタンフォード留学記 20》激動の2009年。「私の予測」と「私の目標」


 大波乱の2008年が終わり、ついに、2009年がやってきました。今年は、自分自身も30歳を迎えることもあり、大きな節目の年になりそうな気がしています。

新年初のコラムですので、今回は、僭越ながら、自分自身の考える、今年の予測と目標を披瀝したいと思います。議論が荒削りなところはどうぞお許しください。

まずは今年の予測から。今年のキーワードを一言で述べるなら、「旧秩序の終焉の始まり」に尽きると思います。

1)世界-アメリカ一極支配の終わり

第9回で述べましたが、これから世界は各国のエゴがぶつかり合う不安定な時代へと移行するでしょう。

冷戦後、「世界中がリベラルデモクラシーに収斂し平和を迎える」と述べたフランシス・フクヤマの意見は外れ、文明間、そして、文明内部での諍いが次々と勃発しています。むしろ、昨年のクリスマスイブに他界したサミュエル・ハンティントンの見方が正しかったことが実証されつつあります。これからも、アメリカが世界の中心であり続けることに変わりはありませんが、相対的な影響力が下がっていくことは間違いなさそうです。

2)中国-高度成長の終わり

建国60周年、改革・開放政策から約30年、そして、天安門事件から20年が経過した中国が大きな岐路を迎えています。

米国の金融危機が飛び火し、経済は火の車。先日も、国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事が、中国の2009年の経済成長率が5~6%まで低下する可能性を示唆しました。中国は新規の労働者を吸収するために、最低7、8%の成長率が必要といわれますから、失業者が膨れ上がることは確実です。欧米メディアの記事も、単なる経済分析から、不況がどう民主化運動を誘発するかという点に移ってきました。(たとえば、The Economist, December 13th-19th 2008, ”Suddenly vulnerable”, “China’s reforms”)
 
 共産党は強力な治安体制を敷いていますから、「暴動→共産党体制崩壊→国が分裂」という極端なシナリオは考えにくいですが、第2の天安門事件はいつ起きてもおかしくありません。

加えて、もし世界不況が2,3年で収束したとしても、今度は、2015年ごろから労働者人口の減少が始まりますから、過去30年のような安定した2ケタ成長の継続は、もう永遠に無理でしょう。今後は、暴動や経済危機におびえながら、ある年は7%、ある年は5%といった感じで成長する、安定感のない時代へと突入するのではないでしょうか。

3)日本-戦後体制の終わり

今年は、ポスト戦後が本格的に始動する年になるでしょう。

安倍元首相の「戦後レジームからの脱却」というキャッチフレーズは人気薄でしたが、それが多くの領域で実現し始めます。1940年以来の“官僚主導体勢”、1955年以来の“自民党一極支配”、高度成長を支えた“年功序列・終身雇用”が雪崩を打って崩れ始める。

大不況は、「派遣切り」などの悲劇を生んでいますが、既得権益をぶち壊すというプラスの側面もあるわけです。

4)言論-古い「保守 vs リベラル」の終わり

言論という点では、古い「保守 vs リベラル」の構図が有効性を失うでしょう。

具体的には、イデオロギー色の濃い「正論・田母神的な保守」と偽善性の強い「朝日・岩波的なリベラル」が国民に愛想を尽かされて、「より現実主義的な保守」と「経済学に理解のあるリベラル」に再編されていくのではないでしょうか(希望的観測も含みますが)。

5)メディア-古いマスコミの終わり

古いマスコミ体制が目に見えて壊れ始めるでしょう。政治が国民の民意を反映していないとは良く言われますが、同じことがマスコミについても言えます。

現在の大不況に伴う広告費の急減は、一過性の部分もあるでしょうが、これを機に広告主は価格と費用対効果が見えにくい広告を、バッサリと切り始めるはずです。
 
 かつて、大橋巨泉氏は「勝ち組とか金持ちとかインテリがテレビを見なくなっただけなんですよ。(中略)テレビは今に「貧困層の王様」になるはずです。」(『日経ビジネス』2006年1月30日号』)と指摘しましたが、その傾向に拍車がかかるでしょう。

大手テレビ局、新聞社、出版社は、倒産はしないまでも赤字が続出し、賃下げや希望退職に踏み切っていくことは必至。となると、既得権益のうまみが薄れ、優秀な人間ほど組織を離れて、新しいビジネスや、より率直かつ自由な言論活動を生み出すかもしれません。当面、混乱が続くでしょうが、アメリカのように、メディア界全体の人材の流動性が高まることは、長い目で見て、日本のマスコミ界の活性化につながるはずです。

変化の時代には「スペシャリスト」より「ゼネラリスト」

では、こうした激動の時代を個人としてどう生き抜くのか?

その全てに通底するのは「一流のゼネラリストになる」というビジョンです。

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