中国の短期金利急上昇は、何を意味するのか 問題の根源不明、人民銀の鎮静化措置も効果なし

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12月20日、中国短期金融市場では指標金利が3日連続で急上昇、信用逼迫(ひっぱく)が起きた6月以来の高水準となった。北京で7月撮影(2013年 ロイター/Jason Lee)

[上海 20日 ロイター] -20日の中国短期金融市場では指標金利が3日連続で急上昇、信用逼迫(ひっぱく)が起きた6月以来の高水準となった。中国人民銀行は沈静化を図っているものの、今のところ、効果は上がっていない。

7日物レポ金利は18日に上昇を開始。人民銀が19日、定例の公開市場操作で資金供給を見送ると上昇が加速した。

20日の市場では、1年物金利スワップレートが前日につけた過去最高水準の4.99%付近にとどまった。7日物レポ金利(加重平均)は、8%を上回る6月21日以来の高水準で取引を終了、6月20日につけた過去最高の11.6217%に迫った。

人民銀行の鎮静化措置も効果なく

前日、金利上昇を受け、中国人民銀行は取引時間を延長し、短期流動性オペ(SLO)で資金を供給したと発表した。上海政府系紙の第一財経日報が匿名の銀行筋の話として20日伝えたところによると、人民銀はSLOを通じ、複数の銀行に2000億元(330億ドル)を供給した。

しかし、トレーダーによると、商業銀行で貸し出しが焦げ付いたとのうわさが出ており、20日も市場は神経質なムードが続いた。タンリッチ・セキュリティーズ(香港)のエクイティ・セールス部門バイスプレジデント、ジャクソン・ウォン氏は「昨夜の人民銀によるSLO発表にもかかわらず、人民銀当局者からの説明を聞かなければ中国における銀行の資金逼迫傾向は変わらないため、短期的な懸念は残っている」と指摘した。

エコノミストらは、指標となる銀行間取引金利が11.62%を付けた6月のような状況になることはないだろうと指摘しているが、市場は不安定なままで、問題の根源も依然として不明だ。

ANZの劉利剛氏と周浩氏はリサーチノートの中で、「中央銀行(中国人民銀行)は、財務省が12月後半実施した大規模な資金供給によって、市場の流動性が大幅に緩和されると考えていたようだ」と指摘。今回の流動性逼迫を受け、人民銀行は年末の流動性管理戦略を見直す必要があると付け加えた。

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