東大カリスマ教授の「超ハック術」 塩野誠×松尾豊 特別対談(上)

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今、最もホットな分野のひとつである人工知能。人工知能とウェブに関する最先端の研究を進めるのが、松尾豊東京大学准教授だ。キュレーションサービスGunosy開発者も、松尾研究室出身。連載「キャリア相談」でおなじみの塩野誠氏との特別対談を通じて、そのハック術を惜しみなく披露する。

ハッキングに明け暮れる高校時代

塩野:もともと、松尾先生とは、一緒にシリコンバレーやニューヨークのヘッジファンドカンファレンスに行ったりしていて、いろいろお話はしていました。今日はよろしくお願いします。先生のご専門は人工知能ですが、もともとコンピュータは好きだったのですか?

松尾:そうですね。小学校の頃から、ポケットコンピュータで遊んでいました。それで、グラフを書くプログラムを自分で作ってみたり、マイコンを作って応募したりしていました。

塩野:以前、先生は大戦略というゲームをハッキングしていたと聞いたのですが、本当ですか?(笑)

松尾:はい。高校のときに、1日1ターンで友達とフロッピーをやり取りして進めるっていうのをやっていました。向こうはずっと大戦略をやっていて、僕はまだ新規参入だったので、どうやって勝とうかなあと思って。

しばらくプログラムのファイルを見ていたら、なんとなくどこに何のデータが書いてあるというのがわかってきたのです。これが攻撃力なんだ、守備力なんだ、隠れパラメータなんだ、みたいなふうに。

それで、僕が独自に開発した「攻撃力÷守備力=戦闘力」という指標を作りました。さらに、「戦闘力÷値段=お買い得度」という指標も作って、このお買い得度順に考えて最適な戦術を考えていました。お買い得度で見ると、150円の戦車のコストパフォーマンスがめちゃくちゃいいということがわかったので、後はそれを大量に生産して戦っていました。強かったですね。結局、友達は、「なんなんだよお前!」みたいな感じで(笑)。

塩野:完全にアナリストじゃないですか。嫌な相手ですね(笑)。

松尾:はい、それで内部資料を見せてあげたら、ああすごいなあと。こういうふうにして負けるとは思わなかったと言っていました。これが、データが大事だなと思った原始的な体験ですね。

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