金価格の下落が止まらない インフレ懸念後退、ヘッジ手段としての需要減

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ワークしない米フィリップス曲線

ただ、金価格の動向を見る限り、市場のインフレ懸念は現時点では大きくないようだ。米国の消費者物価指数(CPI)は10月が総合で前年比1.0%上昇とディスインフレが懸念されるほど落ち着いている。食品・エネルギーを除くコア指数も前月比0.1%上昇。前年比では1.7%上昇と低い。

「物価が低位に押さえれらていることがテーパリングを決定させた大きな要因だろう。雇用と物価の相関関係も最近は崩れているので、雇用が改善しても物価は上がらない状況が続くのではないか」と第一生命経済研究所・首席エコノミストの熊野英生氏は指摘する。

米国の失業率は7.5%付近から7.0&付近まで低下してきたが、物価は1%付近で止まったまま。労働参加率の低下がその原因ともみられているが、いわゆるフィリップス曲線はワークしていない。

ただ、現時点では急激な物価上昇を懸念する声はそう多くないが、リスクは原油上昇とみられている。原油価格は、いまは落ち着いているが、地政学的リスクの「火種」は現在でも多数くすぶっている。

米国ではシェールガス革命が進んでおり、原油輸入の中東依存度が低下する可能性がある。市場では「米国の中東への関心が薄れれば、同地区の不安定化につながりかねない」(国内投信)と懸念する声も多い。

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