グリコ社員がヨーグルトに注いだ熱すぎる情熱 好きを仕事にする「菌オタク」キャリアと日常

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腸内フローラ検査は簡単にできる。検便のように便を採取して、検体を指定された場所に送るだけだ。検査キットにIDが書いてあり、あらかじめサイトでIDとメールアドレスを紐づけておく。結果はサイトで確認する。検査機関には氏名や住所が伝わらない仕組みだ。
検査リポートには「腸内フローラ年齢」「バランス(よい菌の割合など)」「多様性」「太りやすさ」が書いてある。食生活、運動習慣のアンケートもある。

結果とアンケートから腸の状態を考察

――結果を見たところ、どの項目も“標準”だったのですが、どう捉えればよいでしょうか?

ライター高橋さんの腸内は…(写真:筆者提供)

僕は医師ではありませんので、占いみたいなものだと思って聞いてください。今の状態は「完全なる平均の腸内」という感じです。腸年齢が実年齢より10~20歳ずれている方もいます。そういう方だと、食物繊維を多くとっているから……などの解説ができるのですが。

「なぜ平均的なのか?」を考察してみましょう。アンケートを見ると、食事における栄養バランスや、BMIが21、睡眠時間が7時間と、どれを見ても平均値に近いです。つまり、あらゆるものが平均だから、腸内も平均的な結果になっていると考えられます。

――腸内年齢を、もっと若くする方法はあるんですか?

運動や水分なども重要ですが、手っ取り早いのは食事を平均的なものから逸脱させることでしょう。食物繊維の量を増やすのがおすすめです。とくに"水溶性の発酵性食物繊維"がいいと思います。水溶性の発酵性食物繊維で、世界で最も流通しているのはイヌリンです。ここからは宣伝になってしまいますが、グリコの「アーモンド効果」というアーモンドミルクに入っています。

今回の結果が平均的であったことはいいことですので、今後は今以上に関心を持って腸活に励んでいただけたらと思います。

――なるほど。こういったことを、社員にアドバイスしているんですね。ちなみに「あなたの全菌種一覧」に私のお腹の中の腸内細菌一覧が出ているんですが、これを見て、なにか珍しい菌はいるでしょうか?

高橋さんの腸内にいる全菌種一覧(写真:筆者提供)

細かく見ても平均なんですよね。フィーカリ菌が約8.3%検出されています。平均的な値です。「長寿菌」と呼ばれている菌で、その名のとおり長寿の方に多い菌です。このフィーカリ菌は、いま盛んに研究されている菌で、これから話題になると思います。

また、エクオール酸性菌も検出されています。これは女性にとってとても大事な菌で、大豆製品を食べたときに活躍する菌です。大豆に入っているイソフラボンは、そのままでは活性が弱いんです。このエクオール酸性菌が働くことで、活性が100倍に上がると言われています。

――腸内には多種多様な菌がいて、それぞれが別々の働きをしているんですね。おなかの中にひとつの町があるみたいで、面白いですね。

腸内フローラは健康に関わる重要なもので、学名が出てきたりして難しい面もありますが、ビフィズス菌みたいなヒーローや、長寿菌という賢者がいて、町の平和を守ってくれているという見方もできます。日々食べるものは、ヒーローや賢者への応援物資なのだから、もっとよくしようと思ってもらえたらうれしいですね。

高橋 ホイコ ライター

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たかはし ほいこ / Hoiko Takahashi

1976年生まれ。国民生活センター勤務を経てフリーライターに転身。ウェブメディアを中心に執筆中。企業の一風変わった取り組みへの取材を得意とする。趣味はホルン演奏、ピンクのガジェット収集、交通インフラの豆知識集めなど。トマトマンの斜め上行く生活術管理人。

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