真に機能する、在宅勤務制度のツボ NTTコミュニケーションズのテレワークの実際

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日頃のコミュニケーションが重要

同僚との間のコミュニケーションも重要だ。eワークを利用したいという日の業務が自己完結的で成果物の明確な業務でない場合、上長の判断で、その仕事をほかの人に回し、代わりにほかの人の仕事を任せるといった調整もありうるからだ。また、自宅でも会社にいるのと同じように仕事ができるとはいえ、突発的な仕事への対応は難しい。

急に書類を作成しなくてはならないといったことが起きた場合、同僚に負担がかかることもある。やはり、日頃からコミュニケーョンを深め、信頼関係を築いておかなくてはならない。

──新しいワークスタイルであるeワークを取り入れるには、アナログ的なフェイス・ツー・フェイスのコミュニケーションが重要というのは面白いですね。

ほかに、これからこのような制度の導入を考えている企業に対してアドバイスをするとすれば、少しずつステップを踏むということだろうか。また、普段からビデオ会議システムなどを使って会議をする。それで離れた場所にいる社員とのコミュニケーションが業務上うまくいかなければ、このような制度は難しいだろう。

私は自分の担当でトライアル的に、弊社の「Bizメール タスク管理サービス」を使ってeワーク社員とのコミュニケーションを円滑にしようと取り組んでいる。社内SNSのようなもので「今日の会議の結果を伝えます」とつぶやくように共有すると関係する人たちにそのメッセージが伝わるというものだ。過去のやり取りも見られるようになっていて、途中からその業務に関係するようになった人の理解が早まるという効果もある。

ほかに「私に与えられたタスク」「私が与えたタスク」という画面があり、業務管理がしやすくなっている。こういったものを使って、目の前にいない状態でも仕事を円滑に進められるということに慣れていき、その延長線上で在宅勤務を取り入れれば無理がないと思う。

これからは在宅勤務だけではなく、営業担当者など外回りの多い職種でのテレワークが当たり前のようになっていく。会社として、何らかの取り組みを考えてはどうだろうか。

(撮影:梅谷秀司)

 

小林信一

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こばやし・しんいち

HR総合調査研究所(HRプロ)ライター

同志社大学法学部卒業後、出版社勤務を経て、87年に独立。フリライターとして、学生援護会発行『DODA』『TPIS』、産労総合研究所発行『企業と人材』『人事労務』などの雑誌で執筆。採用、組織活性化、人材教育などの分野を得意とする。

 

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