崖っぷち、新井組だけではない苦境の関西ゼネコン界

「カタカナ(=新興デベロッパー)に、われわれは手を出さへん。無理にマンション受注を増やしたゼネコンの経営が厳しくなるのは当然や」(関西ゼネコン首脳)。

関西を地盤とする中堅ゼネコンに逆風が吹き付けている。目下、関係者の間で、中堅ゼネコンの経営状況を分析する際のキーワードは「新興デベロッパー」だ。金融不安による信用収縮やマンション不況が直撃し、新興デベロッパーの経営破綻が後を絶たない。当然、そこへの依存度を高めてきたゼネコンも苦境に陥っている。それが表面化したのが2008年10月、兵庫県地盤の新井組による民事再生法申請だった。

02年に金融機関から640億円の債務免除を受けた新井組は、マンション建設に軸足を移し、07年12月期は黒字を確保していた。だが08年に入り状況が一転。新興デベロッパーの相次ぐ破綻に見舞われ、工事代金の焦げ付きが発生。資材業者からの現金払い要求も急増。金融機関へ駆け込んだが、追加融資を受けられず資金繰りに行き詰まった。

マンション拡大戦略に見え出したほころび

新興デベロッパーの不振は、経営再建中の大末建設(大阪市)にも影響を及ぼしている。新井組と同様、2000年に金融機関から620億円の債務免除を受けた同社も、マンション建設の比重を高めた。再建当初45%だったマンション工事比率は直近で60~70%。ただ、この戦略にはほころびも出ている。

08年度はモリモト(08年11月民事再生法申請)向けの債権1・5億円が焦げ付いた。また、08年6月に完成した大阪府枚方市のマンションは、経営が苦しいとされる大阪市の新興デベロッパーが施工主。マンション業者からゼネコンへの支払い条件はいわゆる「テン・テン・パー」で、着工時に工事代金の1割、中間時に1割、引き渡し時に残り8割が支払われるのが通例。大末建設は引き渡し時から3~5カ月の手形で支払われるケースもあるが、同案件の工事代金回収は「ちょうど半分ぐらいになった」(大末建設)と、通常の期限を過ぎても全額回収に至っていない。一方、同じ枚方市で工事中のマンションは、地元住民の強い反対運動にあっている。現場に張り出されていた工事終了時期は「平成21年3月30日」となっていたものが、シールで「平成21年11月末日」と張り替えられていた。

また、「要求は思ったほどではない」(同社)と想定内であるとするが、資材業者からの現金払い要求もある。貸借対照表の「支払手形・工事未払金等」勘定は、受注減の影響もあり08年3月期末の231億円から08年9月末は179億円に減少し、これを主因に営業キャッシュフローがマイナス。同社は「運転資金不足の際は金融機関が融資してくれる」としている。

ほかにも森組(大阪市)は08年度にインベスト(08年6月会社更生法申請)の債権が8・4億円も焦げ付き、新興デベロッパー破綻のあおりを受けた。大幅赤字で決算書に継続企業前提に疑義が付いているマンション分譲ニチモの債権も残る。業績低迷で08年9月期の自己資本比率は6・2%に後退した。

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