イスラーム世界の論じ方 池内恵著

イスラーム世界の論じ方 池内恵著

イスラーム世界に対する関心が高まりを見せている。しかし、最近でこそ金融が加わったものの、支援・援助、自爆テロ、戦乱のみで語られることが少なくない。中でも著者が危惧するのは、「イスラーム」を反論しがたい「犠牲者」と想定し、その立場に論者が成り代わって、独自の意図を持った発言を行う議論だ。そこには、抑えられてきた反米感情、西欧コンプレックスを「イスラーム」に託して解放するという役割があるとも論断する。

国際社会で少なくとも日本人がテロや戦争から身を守るためには、その発生源をなくしていくプロセスにできるかぎり参加せざるをえない。そうしても、その発生源となっている地域の状況を実態に即して把握していなければ、上滑りなものになりかねない。その把握の成果をイスラーム研究の気鋭の著者が示す。生起された事態について2004年から08年まで見守った評論ないし地域研究はいずれも示唆に富む。

中央公論新社 2730円

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