人事部が見る、成績表「5つのポイント」 企業は、成績表で何を計ろうとしているのか?

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「成績は」

次に、授業への出席状況について聞いた場面を考えてみましょう。

「授業へは、どれくらい出席しましたか?」

という質問に対して、

「なるべくすべての授業に出席するようにしていました」

という回答があったとします。というか、こう質問された学生は、「さぼれる授業は、なるべくさぼっていました」とは答えづらいでしょう。

ここで、「成績は」という質問が、非常に重要になります。

「なるべくすべての授業に出席していたというわりに、成績はあまりよくないようだけど、どうしてですか?」

と、かならず質問されます。このように、成績表を使った面接では、本人の評価だけでない教員の評価があることで、話を脚色したり、話を盛ったりすることが難しくなるのです。

もちろん、すべての授業に出席していたことが、必ずしも好印象を与えるとは限りません。学業外での活動が活発であったにもかかわらず、すべての授業に出席していた人と、学業外の活動には消極的で、授業にだけはすべて出席していた人では、印象は大きく変わります。このあたりは、エントリーシートとの兼ね合いで判断されるポイントになるでしょう。

成績の良しあしは、まったく関係ないか?

ここまで、企業は成績の良しあし「だけ」から判断することはない、ということを強調してきました。では、成績の良しあしは「まったく」関係ないかというと、おそらくそんなことはありません。

たとえば、自分なりに力を入れた授業の成績がよくない人には、どうして成績がよくないのか、必ず質問されます。それは、真剣にサークルでレギュラーに入ることを目指していたという学生にとって、レギュラーになれたかどうかという結果が重要なことと同じです。

さらに言うと、大学や学部によっては、ほぼ全員が真剣に取り組んでいるような特定の必須科目などがあります。その場合には、成績が知的能力を測る指標になると、企業は判断するかもしれません。

辻 太一朗 大学成績センター代表

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つじ たいちろう / Taichiro Tsuji

1959年生まれ。京都大学工学部卒業。リクルートで全国採用責任者として活躍後、1999年アイジャスト創業。2006年リンクアンドモチベーションと資本統合、同社取締役に就任。2011年、NPO法人「大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会(略称DSS)」設立。2014年、大学成績センター設立。著書に『なぜ日本の大学生は、世界でいちばん勉強しないのか?』(東洋経済新報社)などがある。

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