(言論編・第二話)脱藩

工藤泰志

 今から7年も前の話になるが、2001年の10月10日夜、都内のホテルで「一風変わった」パ−ティが開かれた。
 「一風変わった」というのは、もちろん私が感じた印象ではない。その様子を紹介したある経済誌の記事の中でそう紹介されている。
 その年は日本の内外で激動の時代を告げる出来事が相次いでいた。いまではその功罪に意見が分かれてはいるが、1月には日本の改革を動かした小泉内閣が誕生し、パ−ティの一ヶ月前の9月11日にはニューヨークで同時テロという衝撃の大惨事が起きている。
 そうした状況下では恥ずかしいくらいささやかな動きではあるが、その日こそ、私にとっては第二の人生の舞台となる「言論NPO」の立ち上げの日だった。

言論NPO設立パーティ(2001.10.10)--各界の要人が集まった
 何が、「一風変わった」パ−ティだったのか。
多分、NPOの立ち上げと言っても出版社の編集者を辞めたばかりで無名のジャーナリストの、しかも「言論」と「NPO」といういかにも妙な組み合わせにもかかわらず、数多くの著名な有識者にパーティに集まっていただいた。それが参加者の興味を引いたのだろう。
 その日、国会ではテロ対策特別措置法案が衆議院で審議入りとなった。会場には、その衆議院のテロ対策の特別委員長の加藤紘一代議士だけではなく、小泉首相をはじめ、鳩山由紀夫民主党代表、小林陽太郎経済同友会代表幹事、オリックスの宮内義彦会長、佐々木毅東大総長ら約100氏が姿を見せ、遠方の北川正恭三重県知事からは長文の檄文をいただいた。(いずれも当時の肩書)

 その状況をコラム「政財界人に脱藩を勧める男」で紹介したのが、当時の日経ビジネス編集委員の谷口智彦氏(その後、外務省副報道官を経て参与)だった。 彼らしいウイットに富んだ表現の中に、言論NPOという非営利組織の本質が見事に語られている。
 その記事を少し引用してみたい。
 「この夜の主人公は有力者の血縁とか、政界に打って出ようという人でもない。それなら参加者にとって目先の役に立つ仕事でも始めると思いきや「言論NPO」という運動を起こした。役に立つも立たないも非営利組織を名乗っているのだし、手がける事業は言論であるという。それでこの動員力だ」
 そして、彼は最後にこう締めくくる。
 「つまりは自らも脱藩浪士である工藤氏による、精神的脱藩の勧めか。氏自身の情熱に動かされた面はあろう。が、お歴々にもこれが大いに必要だと思えたところに、試みの新しさと、ようやくにして盛り上がった危機感の表れがある」
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