スタンフォードの憂鬱…? 大学教員の30代 雇用と業績が双子の不安、踏ん張りどきの過ごし方

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学者もパワフルな生産は、若いうちに?

なんだか最近、ヘンな焦りを感じている。アメリカで経済学者として就職した頃、留学前に日本でお世話になった先生たちに言われたのが、「就職してから5~6年が学者として最も生産性の高い時期だ」ということだった。

僕は大学院卒業と就職が2008年だから、ちょうどこの時期にいる。というか、ちょうど終わりに差し掛かるころなのだ。このためか、今くらいが、重要な研究をできる最後のチャンスかもしれない? と焦ったりする。

著者撮影:大学院の卒業式風景(僕のときのは見つからなかったのですが)。ここから数年が勝負どころ、らしい

これはもしかすると、学者稼業が「とにかくみんながアッと驚くような研究をしろ」という文化に支配されているせいかもしれない。前回も書いたように、学者といえども楽しく「発見」だけをしているわけではなく、そこにはいかに自分の発見を論文にして世に問い、認めさせるかという側面、すなわちビジネスの側面が存在しているのだ。

「テニュア制度」、研究業績を出さない学者は……

大学の制度もそれに対応するようにつくられていて、少なくともアメリカの研究系トップスクールにおいては、研究業績を出さない学者は徹底的に差別される。

この「差別」のかたちはいろいろだが、最たるものとして「テニュア制度」がある。最近は、日本でも大学教員の雇用問題がニュースになっているようだが、テニュアというのは日本語で「終身雇用」や「無期雇用」を意味する。

そして、終身雇用がないイメージのアメリカでも、大学にはこの「テニュア=終身雇用」の制度があるのだ。と言っても、就職した途端に終身雇用を保証されるわけではなく、このテニュアをとるまでにはいくつかの審査をくぐり抜けなければならない。

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