世界240カ国のうちほとんどが伸び盛りだ--ジャンフィリップ・クルトワ上級副社長(国際戦略担当プレジデント)《特集マイクロソフト》

世界240カ国のうちほとんどが伸び盛りだ--ジャンフィリップ・クルトワ上級副社長(国際戦略担当プレジデント)《特集マイクロソフト》

日本法人の樋口泰行社長の直属の上司でもあるクルトワ上級副社長に、マイクロソフトの国際戦略を聞いた。

--EMEA(欧州、中東、アフリカ)、中南米、アジア・パシフィック、日本を統括する拠点が、なぜフランスにあるのでしょうか。  

私自身がフランス国民で、家族もフランスに住んでいる。それが大きな理由です。が、理由はそれだけではない。国際戦略の拠点としてフランスは実に利便性がいいのです。北米や南米へは地球を西に半分回ればたどり着き、アジアへ行くにも地球を東に半周すればいい。マイクロソフトは現在、世界に105の子会社を持ち、240カ国で製品を販売しており、私は年間に35~40カ国訪問しなければならない。いちばん多くの時間を過ごしているのは飛行機の中(笑)。そのため、世界中どこへもアクセスしやすいフランスにベースがあることのメリットは大きい。

--フランスは世界の中心?

世界の中心というつもりはないが、少なくとも欧州の中心です。パリから欧州連合本部のあるブリュッセルまでは列車で1時間20分。イギリス、ドイツ、イタリアなどどこへ行くにも便利です。

--足元の欧州では、検索サービスでグーグルが圧倒的なシェアを誇る。追いつくために何をしていますか。

第一に検索の品質向上などを進めるテクニカルセンターを3カ所設けるなど、研究開発を強化している。第二が、検索に関する新しいビジネスモデルの開発。グーグルの独占的な環境を壊していく動きをしなければならない。第三は、検索以外のオンラインサービスの強化。実は欧州における私どものオンラインサービスのプレゼンスは昔も今も非常に強力だ。ポータルサイトのMSN、ホットメール、チャットのMSNメッセンジャーは大きなシェアを持つ。ティーンエージャーなどはMSNメッセンジャーを使ってチャットすることを「MSNing」と言っているほどだ。

強化するのは、たとえばソーシャルネットワーキングです。またオンラインサービスと、ウィンドウズモバイル搭載の携帯電話といった点同士を太い線で結ぶことにより、新しいサービスを提供する戦略も持っています。

--世界240カ国を管理する際、どのようにセグメント化していますか。

国際戦略の醍醐味の一つは、多様なチャンスが私たちの前にあるということ。発展状況に応じ、どんな地域でも成長することが可能で、実際にほとんどの地域で高い成長をしています。

第一のセグメントは、非常に発展している国々。日本や欧州先進国がこれに相当する。これらの国には過去25年にわたって投資をしている。欧州全体で社員は1万6000人以上おり、そのうち2000人以上が開発者。エンタープライズ向けの検索などで成果を上げている。成熟してはいるが、新しい挑戦をすることで十分に成長の余地のある市場です。

第二が、先進諸国に続く経済規模の小さい国々。韓国、ニュージーランド、オーストラリア、スペインなとがこれに相当する。ここにも過去15年間、積極投資を行っており、大きな成長を期待できる。第三のセグメントが最近になって高い成長を始めた新興市場。BRICsだけではなくて、それに続くような、たとえば南アフリカ、メキシコ、トルコ、インドネシアなどは本当に目まぐるしい勢いで成長しています。

--今後、マイクロソフトの売り上げに占める新興国の比率が上がっていきます。製品開発の戦略を切り替える必要はないですか。

私どもの会計年度に該当する2007年7月から今年6月までの間で、世界のパソコン出荷台数は12%成長した。もちろん市場においてそれぞれ成長率というのはまちまちだが、先進国といえども非常に健全な伸びを示している。日本は4~5%、欧州は10%強伸びており、決して低い成長率ではない。もちろん、新興市場の中には50%の成長を記録したような市場もある。ただ、今でも年間出荷2億5000万台の大半を占めているのは先進国です。

これが世界の全体像。それを認識したうえできめ細かくマーケティングを行う必要がある。マイクロソフトは04年8月から、新興市場でパソコンを初めて買う方を対象に、機能を限定したXPスターターエディションの販売を開始した。ビスタでもスターターエディションを用意しています。中国の農業従事者が初めてパソコンを購入するとなると、確かにビスタの最新機能は不要。ただし、新興国であっても大企業からは先進国と同じフル機能のOSを使いたいとのニーズが非常に強いのです。

--先進国でもXPの需要はいまだに強い。ネットブック(低価格パソコン)ではXPだけでなくリナックスも使われている。ビスタへの移行は混乱しているように見えます。

私はこれまで25年、いろいろなウィンドウズのバージョンのリリースを何度となく見守ってきたが、新しいバージョンが出てからすぐに切り替わることはなかった。企業は、その会社のパソコンの買い替えサイクルに合わせて刷新をしていくものです。買い替えサイクルが3年の会社もあれば5年のところもあるが、いずれにしろ段階的に移行は行われる。これは間違いないことです。

--目下、世界的に景気が悪化している。2010年ごろに次期OS「ウィンドウズ7」が出るのであれば、企業はビスタを見送ってしまうかもしれません。

10月のカンファレンスでウィンドウズ7を紹介した主たる目的は、ウィンドウズ7の核になる部分が実はビスタの技術に基づいていることを大々的に宣言することにありました。今後のOSも継続的にビスタの技術を継承し更新していくんですよと示すために、あえてデモもお見せしたわけです。このことを理解してもらえれば、逆にビスタの導入に勢いがつくと考えています。

プロフィール
Jean-Philippe Courtois
 ニースのグランゼコールである高等商業学校(CERAM)を卒業し、DECS(高等会計ディプロム)を取得。1984年にマイクロソフト入社。フランスでのパートナー企業開拓などを行い94~98年にフランス法人のゼネラルマネージャーを務める。2003年に本社上級副社長就任、05年から国際戦略担当プレジデント。「マイクロソフトで最もスーツの似合う男」の異名を持つ。略称はJPC。

>>>次ページに英訳があります。

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