IXI事件で暴発 「粉飾の臨界事故」

IXI事件で暴発 「粉飾の臨界事故」

「架空循環取引」によって巨額粉飾が行われたアイ・エックス・アイ事件。その余波が広がっている。決算遅延、減額訂正、監理ポスト入り--取引先で相次ぐ異変。「粉飾の連鎖」は食い止められるか。(『週刊東洋経済』5月12日号より)

 「下手をすれば、不適正意見になると思っていた。監査法人と協議を重ねた結果、やっとこさ、意見不表明にできたんです」

 インターネット総合研究所の藤原洋・代表取締役所長は、取材にそう強がってみせた。子会社のアイ・エックス・アイ(IXI、倒産)で簿外債務とともに大掛かりな「架空循環取引」が発覚したのは今年1月中旬。「架空循環取引」とは伝票操作だけの「スルー取引」を複数の企業の間で繰り返し、売上高の水増しを図るものだ。その中心にIXIがいた。不正な収益の水増しは2003年ごろから始まり、売上高の8~9割が架空だったとされる。2月末には大阪地検特捜部などが関係先を家宅捜索、刑事事件に発展した。

 05年に巨額の資金を投じてIXIを買収していたインターネット総研は、144億円もの株式評価損を迫られただけでなく、06年12月中間期決算の確定さえ危ぶまれた。同社は、IXIを子会社とするものの、収益のすべてを除外する方向で、事態を乗り切ろうとした。結果、会計監査人のトーマツは監査意見を不表明、上場廃止基準に抵触するおそれがあるため、東証はインターネット総研を監理ポストに割り当てた。

 「結果責任は痛感しているが、(訴訟などで)損失を取り返して責任を果たしたい」と藤原所長は弁明する。IXIにはだまされた格好だが、買収時の財務調査などに不備はなかったとも言う。「“大阪には数十社からなるシステムインテグレーターのコミュニティがあって、スペックも共通化しているので高収益を実現している”とのIXIの説明を信用していた」と藤原所長は語る。

 数年間で1000億円近くを粉飾していたとみられるIXI事件の余波は、親会社の動揺にとどまらない。その影響は取引先にも広がっている。2月末の強制捜査では簿外債務の直接関係先として東京リースと日本アイ・ビー・エムも家宅捜索を受けたが、ほかにも資料を押収された取引先が少なくとも2社あった。

 サイバーファームは沖縄の本社など4カ所が家宅捜索を受けた。その後の決算確定作業は迷走を重ねた。06年12月期決算を2月中に公表したものの、有価証券報告書の提出が遅延、揚げ句の果てに公表済みの決算を減額訂正するという失態を演じた。実に売上高のうち4割が消えた。IXI関連を中心に「スルー取引」とおぼしきものを消去したためだ。

 資本面でサイバーファームと密接な関係にあるワールド・ロジも、家宅捜索を受けたとみられる。同社の広報担当者は当初「ノーコメント」の一点張りだったが、その後の混乱がただならぬ内情を端なくも露呈させた。06年12月中間期決算を2月中に公表したが、半期報告書の提出期限が目前に迫る3月下旬になって監査法人が突然辞任したのだ。

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