【産業天気図・医薬品】特許切れ目前に先行投資負担重いうえ、買い控えの兆候も。08年度後半、09年度前半とも「雨」続く

予想天気
 08年10月~09年3月   09年4月~9月

医薬品業界の2008年度後半は薬価引き下げの影響を引きずり「雨」。薬価引き下げのない09年度前半も、市況悪化で「雨」は当分降り続きそうだ。節約対象にはならないはずの医薬品だが、米国を中心とする金融危機の影響が、一足遅れて響いてきそう。実際に鎮痛消炎薬や降圧薬などでは、高齢者の買い控えが起こり始めている。

医薬品の買い控え以上に、大手医薬品メーカーにとって悩ましいのは10年に主力品が相次いで特許切れすることだ。武田薬品工業<4502>の潰瘍薬「プレバシド」やアステラス製薬<4503>排尿障害薬「ハルナール」、エーザイ<4523>の認知症薬「アリセプト」などが特許切れを迎える。各社にとって主戦場の米国は企業が自ら価格を決められる「自由薬価」制のため特許失効した薬は、すぐにジェネリック(後発医薬品)にとってかわられる可能性がある。つまり、景気低迷下でも、主力品に替わる新薬候補への投資を減らすわけにはいなかい状況だ。

FDA(米国食品医薬品局)による新薬候補の承認遅延も頭の痛い問題だ。審査の厳格化により、追加解析などを求められるケースも多く、たとえば、大型化期待の第一三共<4568>の抗血栓薬「プラスグレル」は、優先審査期限の6月からすでに半年遅れている。武田のDPP4阻害薬「SYR‐322」や抗潰瘍薬「TAK‐390MR」も審査延長。とりわけTAK-390MRについては、09年11月に特許切れが迫る、プレバシドの後継品に位置付けているだけに、発売遅延が業績に悪影響を与えかねない。

こうした中、海外売り上げ比率の高い武田、第一三共、アステラス製薬の3社は今09年3月期苦戦を強いられている。円高直撃に加え、米国は景気後退で医薬品売り上げも鈍化気味で、今期は3社ともに営業減益の公算。さらに、第一三共は買収したインドのランバクシー社の株価大幅下落で、年明けにも巨額損失を計上する見通しだ。来10年3月期はいよいよ特許切れの影響が出てきそう。たとえば、アステラスでは、主力の免疫抑制薬「プログラフ」が今年4月にすでに特許切れしている。まだ後発品は出ていないが、出れば米国でのプログラフ大幅減は免れそうにない。

国内では、医療費削減を視野に国が薬価の低いジェネリック普及推進策を展開している
が、ジェネリックメーカーでも明暗が分かれている。日医工<4541>や産婦人科系に強みを持つ富士製薬工業<4539>は堅調組。一方で、特長のない中小のジェネリックメーカーは淘汰が進みそう。これまでジェネリック主体だった富士製薬も、新発売した「ルナベル」(子宮内膜症に伴う月経困難症治療薬)に続く新薬開発で、新たな事業の柱を作る計画だ。ジェネリック世界6位のアクタヴィス(アイスランド)と業務提携したあすか製薬<4514>のような拡大策も一手だ。

一方、独自性のある薬で、底堅く成長を持続させている企業もある。医療用漢方薬のツムラ<4540>は、認知症周辺症状薬「抑肝散」の伸びが牽引し、家庭用品事業売却で減収になっても今期は増益となりそうだ。赤字の医療機器会社を切り離した持田製薬<4534>も、主力の高脂血症薬「エパデール」が順調に推移。ただ中期的な成長には、エパデールに続く新薬が必要だろう。
(前野 裕香)

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