北海道―欧州直行便「17年ぶり復活」の勝算 フィンエアーが今年12月から就航開始

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新千歳への乗り入れが決まったフィンエアーのA330(撮影:尾形文繁)

数あるヨーロッパの航空会社の中でも、最も積極的に日本への路線展開を進めているフィンランド航空(フィンエアー)。同社はこのほど、ヘルシンキと札幌・新千歳空港を結ぶ直行便を2019年12月15日から開設すると明らかにした。

新千歳とヨーロッパの間にはかつて、KLMオランダ航空のアムステルダム線が飛んでいたが、休止から実に17年の時が経過。北海道では旅行業界のみならず、道内経済界が広く欧州路線の復活を望んできただけに、ヘルシンキ便の開設は関係者にとってまさに大きな悲願の達成である。

フィンエアーにとって新千歳への乗り入れは、日本で5つ目の就航先となるが、はたしてこの新しいルートの開設でどんな展開が生まれるのだろうか。その可能性を検討してみたい。

まずは冬の訪日需要に対応へ

フィンエアーの発表によると、ヘルシンキ―新千歳便は12月15日(日本発は16日)から当面、2020年3月27日まで週2便が飛ぶことになっている。これはヨーロッパのクリスマス休暇に合わせて訪日するインバウンド需要を見越したものだが、当然日本からの年末年始の訪欧にも対応する格好となる。

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同社はこれまでパウダースノーを楽しむスキー、あるいは食や温泉体験など、北海道の魅力を積極的に発信。ヨーロッパからの直行便がない中でも、日本各地経由で札幌ほか北海道への送客に積極的に取り組んできた。

一方、「ヨーロッパとの直行便復活は悲願」と考えていた北海道庁は2015年11月、路線の再オープンに向けた誘致活動のため、当時の副知事が道内の経済人、札幌市の副市長とともに渡欧。1997年から2002年まで新千歳に乗り入れていたKLMを訪れる一方、日本でのさらなる路線拡大を狙っていたフィンエアーにも誘致セールスを行ったという。その後も誘致活動は継続され、2018年10月にも再び副知事が道内関係者とともにフィンエアー本社を訪問している。

ヨーロッパ直行便の新千歳就航誘致に携わった北海道庁総合政策部航空局の後藤知佳子氏は、「北海道胆振東部地震の後、インバウンド客の減少が見られましたが、こうして新たにフィンエアーが就航を決めたことで、『北海道が元気である』という印象を内外に示すことができるそのインパクトは大きい」と語る。

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