お金持ちが100円ショップを利用しないワケ 資産価値を気にするのは不動産だけではない

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超富裕層の中にはこうした高額物件を現金一括で買う人もいますが、若いエリートサラリーマンの多くは日本同様、ローンを組んで購入するのが一般的です。会社員という信用を利用して、できるだけローンを借りて不動産を買い、返済しては資産を増やすという戦略の人もいます。もちろん、日本の会社員でもマンションの区分をいくつも所有している人も少なくないでしょう。

また、不動産のほかに、メンバーシップを購入する富裕層もかなりいます。メンバーシップというと、日本人にはゴルフくらいしかなじみがないかもしれません。日本にも東京アメリカンクラブ、横浜カントリークラブ、神戸外国倶楽部といった会員制の社交クラブがあります。限られたネットワークをお金で買うことができるのが、メンバーシップ制度です(紹介制の場合もあり)。

シンガポールではアメリカンクラブ、タングリンクラブ、ラッフルズタウンクラブ、タワークラブなど、数多くのメンバーシップがあります。会員向けにレストランやスポーツ施設などを提供するとともに、施設のイベントなどで会員同士が交流できるなどのメリットがあります。人気のないメンバーシップの売却価格はどんどん落ちていく一方で、伝統のある格式高いメンバーシップは高値で取引されています。メンバーシップを持っている友人について行けば、会員でない人でも施設を利用できるので、私自身も、主要なところはほぼ行ったことがあります。

生まれたばかりの子どものために終身保険に入るワケ

2つ目が、保険です。シンガポールのお金持ちは、掛け捨てタイプの保険を選ばない傾向にあります。人気なのは、死亡保険金を確保しながら解約返戻金を増やしていく終身保険タイプです。特に、シンガポールでは予定利率が4%程度の保険商品もあるため、そのリターン分だけで掛け捨て部分が実質チャラになるため、こうした資産性の高い保険が選ばれる傾向にあります。

富裕層の中には、生まれたばかりの子どもを被保険者にした終身保険の一種を買う人もたくさんいます。もちろん、贈与税がないという理由が大きいのですが、年齢が若いうちは掛け金が安いため、将来的に資産価値が高まる商品を、安いうちに買っておきたいという思いが強いようです。

日本では、遺産が親族のあらそいの種になるのを恐れて、なるべく自分の存命中にお金を使いたいという人が少なくないようですが、海外の富裕層の多くは、いかにして次の世代までお金を残すかを常日頃から考えている人がたくさんいます。そのため、できるだけ不動産や保険は安いときに買いたいので、被保険者の年齢が若く保険料が安いうちや、保険会社がプロモーションを行っているときなどにまとめて買うようです。人によってはいくつもの保険(すべて資産価値があるもの)を契約しているので、自分の老後や次世代への事業承継は盤石なのです。

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