仕掛けられた『ジャパン・ラッシュ』の真実(上) 「デフレ縮小化」で日本が世界の中心となる

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なぜ今、起き始めていることが“大変”なのか。その理由を簡単にいうとこうなる:

●11月12日から日本株マーケットでまず仕掛けはじめたのは、欧州系年金基金ファンドであった。この時、平均株価で見ると明らかに強気なラインで彼らは買い始めた。これが全てのストーリーの始まりたった

●これに慌てふためいたのがそれまで「日本売り」を仕掛けてきていた米系ヘッジファンドたちだ。ロスカットのラインを超えて悠然と買いを入れていく欧州系年金基金ファンドたちを見て、仰天する。そして慌てて売りポジションを畳み、今度は猛然と買い戻し始めたというわけなのである

●こうした「日本マーケットで異変」というサインを次に巧みに嗅ぎ取ったのが米欧のグローバル・マクロ系ヘッジファンドたちだ。1000億円を越えるマネーを瞬間移動させ、わが国マーケットへと投げ込み始めた。日本株は一気に息を吹き返したように動き出し、瞬く間に平均株価は1万5000円を越えた

●ちなみに2013年初夏頃より、日本株マーケットでは一つの暗黙のルールがあった。機関投資家たちが行うことの出来る取引の一つに「裁定取引」がある。それによって現物買が積もり重なり、いわゆる「裁定残」が25億株を超えると今度は現物売り・先物買いが始まるというパターンが繰り返されていたのである。ところが11月中旬からは「裁定残」の膨れ上がり方はとどまることを知らず、瞬く間に25億株を超えた。もう間もなく30億株になるといった勢いを早々から見せ始めたのである

こうした動きをマーケットで創り出したのは私たち日本人ではない。そのことはマーケットで示される様々なデータから明らかだ。端的に言うと「外国人が殺到、日本人は半信半疑でむしろ売り続ける」という流れが顕著だったのである。つまり「ゴールド・ラッシュ」ならぬ「ジャパン・ラッシュ」を創り上げ、そこで日々利益を上げてきたのは我が国に住む日本人ではなく、外国人たちであったというわけなのだ。

だが今や「25億株」という「矩」を越え、未体験ゾーンへと押し出された日本株マーケットなのである。そこに加えてドイツでは大連立政権樹立に向けた合意が成立となり、ユーロ価が上昇。反射的効果として日本円は下がり、一気に「円安」へとなり始めた。そう、またしても欧州が先行して動いたというわけなのである。「ジャパン・ラッシュ」を確信的に演出しようとする確固たる意思が、はっきりと見え始めているのだ。

「インターネット上で無数に流されている公開情報をまずは拾い、そこから正しい意味を読み解く。それだけではなく、その『意味』を未来に向けて照射することによって自分自身のロードマップ(予測分析シナリオ)を創っていく」―――これが私の研究所がかねてから研究・開発し、教育・研修してきている“情報リテラシー(information literacy)”である。しかしこれに対して、残念ながらこうコメントしてくる方がいまだに後を絶たない。

「原田さんは要するに、投資顧問になりたかったのですね。金融マーケットに関心が向いたので外務省を辞めたのでしょう?」

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