2年前発売の「AirPods」が売れ続けているワケ クリスマス商戦で最も注目のアップル製品だ

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また使い始める際、iPhoneの近くでAirPodsケースのフタを開けるだけでペアリングでき、それ以降は同じApple IDでログインしているiPad、Apple Watch、Macでもペアリング作業なしで利用できるようになる。特にiPhoneとのペアリングにおいて、こうした価値を両立している製品はまだ現れていない。そのことが、2年前の製品がそのまま売れ続けている理由と言えるだろう。

2016年にヘッドホン端子がなくなったiPhoneを登場させたことで、ワイヤレスオーディオをスマートフォンの必需品と設定し、新たな売り上げを作り出した。

ちょっと変?も成功の要因に

AirPodsは、これまでiPhoneに付属してきた白いヘッドホン、EarPodsからケーブルを切り外しただけのスタイルで発売された。

AirPods(左)とケーブル付きのヘッドホン(右)(筆者撮影)

発売された当初、日本では「耳からうどんが出ているよう」と揶揄されたこともあるほど、見慣れたヘッドホンにケーブルがないAirPodsに違和感を感じる人も多かった。しかしその違和感は、むしろAirPods認知の追い風になっていたかもしれない。

決算発表の場などでアップルCEOのティム・クック氏はAirPodsが好調であることを取り上げ、「iPod現象の再来」と指摘してきた。

iPodが広まった際、それまでイヤホンは黒が中心だったなか、iPodに付属するイヤホンを白としたことで、街で見かける白いヘッドホンがiPodの象徴となった。それと同様に、耳から少し飛び出す形の白いヘッドホンは、奇抜さと違和感から、街でユーザーがAirPodsを自然と広めてくれた。

Apple Watchと違い、AirPodsはAndroidスマートフォンやWindows PCでも利用することができる。しかしAirPodsのウリである「自分の複数のデバイスへのペアリングの簡単さ」という利便性を享受することはできない。そのため、AirPodsを使うためにはiPhoneを中心としたアップル製品が最適であり、AirPodsを使い始めたiPhoneユーザーは、ほかのプラットフォームへの乗り換えがしにくくなる。

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