末期政権の迷走は世の常、もはや今必要なのは自民党の「野党力」

末期政権の迷走は世の常、もはや今必要なのは自民党の「野党力」

塩田潮

 麻生離れどころではない。もう麻生首相では政権の立て直しも党勢挽回も不可能と多くの自民党議員が見限りつつあるようだ。党内の大勢は「『麻生解散』はノー。来年度予算成立と引き換え、あるいは成立直後に『総選挙実行用』の新首相に交代」という空気だ。
 一方で離党・新党論や政界再編の動きもあるが、政権奪取に一丸の民主党がいまひび割れするとは思えない。末期政権の迷走は世の常だが、自民党も政権執着や延命という発想ではなく、そろそろ民主主義の原理に従って民意に沿った選択という視点に立つべきではないか。

 選挙の予想は外れることが多いが、仮に次の総選挙で負けても、二大政党の一方の旗頭として政権再奪取に備えるのが「政権交代可能な政党政治」を望む民意に沿った道である。であれば、とくに将来のある中堅・若手に求められるのは「野党力」だろう。
 自民党は1993~94年に野党を体験したが、策謀力で早期に政権に復帰したため、党再生や政権担当能力の再構築といった野党力を磨く機会がなかった。それから14年、いま「野党・自民党」を見据えて野党力を高めなければという自覚を持つ政治家は、まだほとんど見当たらない。

 一方の民主党も、ポスターに「政権交代・準備完了」と高らかに謳うが、民主党政権待望論が盛り上がらないのは、反対に「与党力」への疑念が消えないからだ。もしここで政権交代となれば、93~94年のように政権執着症候群の自民党政治家たちが雪崩を打って政権にすり寄り、巨大与党と弱小野党という「政権交代なき政党政治」が出現する危険性がある。自民党はポスト麻生の選択では、「次期総選挙の顔」かどうかだけではなく、「次の次の時代」を担う政党として、腰を据えて独自の将来像をきちんと国民に示し、その実現に取り組むリーダーを担ぎ出さなければならない。
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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