[社名公開]これが就活で成績を活用する企業だ 三井物産、三菱商事、富士通……大企業人事部の本音

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この採用責任者のように、自社の効率的な採用を考えることと同時に、日本の大学生にとってもプラスになるような採用活動を実施したいと考えている企業の方には、私自身、尊敬の念を禁じえません。

学生に知っておいてほしいこと

次に、学生の皆さんにお伝えします。今回、成績の提出を求めている企業は、「成績のよくない人はいらない」「成績のいい人だけが欲しい」「成績で一律的な足切りをしたい」というような企業ではありません。学業に対する考え方や取り組み方、そこで何を感じたのかを選考の参考にすることが、学生のためでもあり、ひいては社会の発展につながると考えている企業なのです。

また、成績表を面接などで活用しようという企業に共通しているのは、新入社員を仲間として大切に考えているということです。

会社に入れば、自分のやりたい仕事もあれば、やらなければならない仕事もあります。モチベーションの高いときもあれば、必ずしもモチベーションの高くないときもあります。

成績表を活用しようという企業は、長期間、自社で働いてほしいので、「やらなくてはならないとき」「必ずしもモチベ―ションが高くないとき」にどのようなことを感じ、どのようなことを考え、どのような行動をしたのかを知ろうとしています。これは、連載第6回でご説明した通りです。

やりたいことをしているとき、モチベ―ションが高いときの行動と、そうではないときの行動の双方を知ることによって、本当に長期の仲間として受け入れるべき人を探そうとしているのです。

学生の皆さんには「成績表の提出=成績の悪い人に不利」と短絡的にとらえないでほしいのです。そこにある、企業の人事部の本当の意図を理解することこそが重要です。

辻 太一朗 大学成績センター代表

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つじ たいちろう / Taichiro Tsuji

1959年生まれ。京都大学工学部卒業。リクルートで全国採用責任者として活躍後、1999年アイジャスト創業。2006年リンクアンドモチベーションと資本統合、同社取締役に就任。2011年、NPO法人「大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会(略称DSS)」設立。2014年、大学成績センター設立。著書に『なぜ日本の大学生は、世界でいちばん勉強しないのか?』(東洋経済新報社)などがある。

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