ソニーが1.6万人削減などのリストラ策発表、今期利益を下押し

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ソニーが1.6万人削減などのリストラ策発表、今期利益を下押し

ソニーは9日、収益力が低下したエレクトロニクス事業の立て直しのため1万6000人の人員削減を柱とするリストラ策を発表した。来2010年3月期末までに年間1000億円の費用削減を図る計画。ただ今回発表した施策は、短期的なコスト削減の側面が強く、中期的な事業構造改善や成長施策には踏みこんでいない。この部分については09年1月末の08年4~12月期業績発表の場で方向が示される見通しだ。

削減する1万6000人のうち半数にあたる約8000人が国内外でエレキ事業に従事する正社員で、残りが派遣社員など間接雇用人員。人員削減を行うのは、国内外生産拠点を統廃合し、生産効率を高めるためで、現有する国内外工場57拠点の1割を対象としている。具体的には、仏ダックスのビデオテープ工場の閉鎖などを挙げている。また、不採算・ノンコア事業からの撤退で発生する余剰人員もリストラ人数に含まれるが「具体的にどの事業から撤退するかは検討中」として、明らかにしていない。

合わせて中期経営方針で示した投資計画も見直す。増強を続けてきたスロバキア・ニトラの液晶テレビ工場については増産投資を無期限で延期。ただ液晶テレビの出荷台数については、今2009年3月期1600万台などの計画数値を変えない方針のため、外部工場への生産委託を拡大する公算だ。

今期業績は、リストラ費用の発生で営業利益の下げ圧力が高まった。また費用発生以外にも、会社側の為替前提(1ドル100円、1ユーロ140円)や世界的な消費減退の拡大も利益を押し下げる方向に働いている。

このため「東洋経済オンライン」は、今期について、営業利益ゼロ(従来予想1700億円)とするなど予想数値を減額した。09年1月にも再度見直す予定だ。
(杉本 りうこ)


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
◎本2008.03  8,871,414 374,482 466,317 369,435
◎本2009.03予 8,800,000 0 -5,000 -5,000
◎本2010.03予 8,800,000 90,000 85,000 60,000
◎中2008.09  4,051,349 84,487 70,229 55,793
◎中2009.09予 3,800,000 40,000 38,000 27,000
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
◎本2008.03  368.3 25 
◎本2009.03予 -5.0 50特
◎本2010.03予 59.8 25-50 
◎中2008.09  55.6 30特
◎中2009.09予 26.9 12.5-25 

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