分かれ道は優勝の翌週にあり

優勝したことを、一刻も早く忘れられるか

ゴルフの技術は、人に教わるんではなく目で盗め、そして、その技術は人知れずいつの間にか身に付けろ。昔は、先輩からそんな職人気質の教えがありまして。プロゴルファーって商売は、その努力をしているところを他人に見せないのが粋だったんですね。

トーナメント会場で、ラウンドの後練習でもしていたら「オイ、何してんだ」なんて言われて、クラブハウスで一杯引っ掛け宿に戻るのが普通でしたね。そんな時代から少し経った1972年、JALオープンが千葉の習志野カントリークラブで開催され、勝ったのは南アフリカのゲーリー・プレーヤーでした。

このゲーリーは親日家で、後年、自宅で馬を飼って、その馬に「忍耐」だったかな? たしか日本名をつけていたと聞いたなあ。60年代は主に米国ツアーで活躍し、アーノルド・パーマーとジャック・ニクラウス、それにゲーリー・プレーヤーを加えて世界のビッグ3と称され、誰もがあこがれたもんですよ。日本でも3選手のテレビ番組があって、心ひそかに「俺もこんな選手になりたいな」と思ったものです。

その後、米国でこの選手たちと同じ土俵で戦うことになったときは、夢のような思いでした。シニアツアーの主戦場を米国にしたのも、若い頃のあこがれが要因になってたんでしょう。

話を戻し、そのゲーリー・プレーヤーがJALオープンで勝った当日、表彰式などがすべて終わった後、飛行機の出発時間までまだ時間があるからと言って、優勝したそのコースを1時間ほど走って帰ったと、後日聞いたんですよ。

当時の日本のプロたちには、自分もそうだったと思うけど、努力は人に見せるもんじゃないと思ってたから「嫌みなやつ」と映ったんだね。でもこの姿勢が、一流を何年も続ける秘訣であることは言うまでもありません。

プロゴルファーが優勝すると、その晩は、どこかで大なり小なりの祝勝会があって、翌日の月曜日は花が届いたり、所属先にごあいさつに行ったり、何かと忙しい。そして火曜日は、次の試合の練習日、ここで心新たに、試合に臨むコンディション作りをしなくちゃいけないの。

周りの皆は優勝気分が抜けないようで、お祝いの言葉をかけてくれる。ありがたい話だが、優勝したことを一刻も早く忘れることが、一流と二流の分かれ道。前の週の優勝を祝うよりも、注目されているその週の試合で、いかに上位に入るかを努力すべきなんだね。

今季、選手会長としてツアーを引っ張ってきた池田勇太が、マイナビABCで優勝。男泣きが会長のご苦労を感じさせたが、立派なのは翌週のHEIWA・PGMチャンピオンシップでも、初日首位に立ち、ファンに夢を持たせたこと。すばらしいと思います。

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