「GAFA」支配にモヤッとする人が知らない本質 つまるところ彼らの目指すのは金儲けなのだ

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ちなみにゲートウェイ・コンピュータの役員だったこともあるというギャロウェイ氏は、ニューヨーク大学スターン経営大学院教授。連続起業家(シリアル・アントレプレナー)として、これまでに9つの会社を起業してきた実績も持っている。しかし、その過程においては、レッドエンベロープというオンライン通販会社をスタートさせて株式公開するも、やがてアマゾンによって息の根を止められている。

世界的消費者ブランドや小売りブランドの社会的評価、検索、モバイル、サイトの実績などを評価していたL2のデータにしても同じ。世界の大手100社が自社と四騎士を比較するために使われることになり、結果的にはリサーチ会社のガートナーに買収されたのである。

さらにはニューヨーク・タイムズ、デックス・メディア、アドヴァンスターなど複数のメディア企業の役員会にも名を連ねていたが、これらはすべてグーグルとフェイスブックに撃沈された。ちなみにニューヨーク・タイムズ社には自ら投資を行って経営改革にも乗り出すが、同社のコンテンツをグーグルによって検索結果下位へ飛ばされてしまったりもしている。

早い話が、過去に四騎士から手痛い仕打ちを受けてきたわけだ。ただし、だからといってギャロウェイ氏は、ここで四騎士に対する恨みつらみを書いているわけでは決してない。むしろ逆で、四騎士と身をもって向き合ってきたからこそ、「地上の人間を殺す権威」を備えたこれらの企業の膨大な力や、その問題点を明かしているのである。

そして語られることの多くは、私たちが日常的に、そして無意識のうちに感じていたであろう四騎士に対してのモヤモヤした気持ちともリンクする。

著者は四騎士を「ペテン師」扱い

グーグルで検索しつつ、検索結果の表示順序はどうなっているのかと気になったことはないだろうか?

アップル製品にワクワクする一方、踊らされているような気分になったことはないだろうか?

フェイスブックが、頼みもしないのに何十年も前に別れたパートナーのことを探し出してきて、気味の悪さを感じたことはないだろうか?

間違いなく生活を快適なものにしてくれたアマゾンが、日本で法人税を支払っていないことに違和感を覚えたことはないだろうか?

言ってみれば私たちは本書を通じ、上記のような感情をギャロウェイ氏と共有することがきるのである。

そこでギャロウェイ氏は大胆に四騎士を斬っていくのだが、印象的なことのひとつが彼らを「ペテン師」扱いしている点である。それはもちろん悪口というような低いレベルにおいての話ではなく、明確なファクトに基づいたものであるのだが。

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