松井稼頭央が「西武二軍監督」として描く胸中 礒部公一&松井稼頭央プロ野球対談:後編

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礒部:今日も練習風景を見させてもらって、一生懸命に選手がやっているところを見ると心が動きますね。松井君はちょうど体も現役のように動くから、選手と一緒に練習することもできる。コーチになると、僕も含めてなかなか体が動かないようになってくる人たちも多いですけどね(笑)。

高卒で入ってくる選手たちは、松井二軍監督にバッティングピッチャーなんてしてもらえたらうれしいでしょうね。

松井:そうですね。

練習時に話した筆者(右)と松井二軍監督(撮影:風間仁一郎)

礒部:今は、球場を新しく改装しているみたいだけれど、古い室内練習場や寮なんかがなくなったら寂しくない? 

シーズン中でも秋山(翔吾)とか1人で遅くまで打撃練習をして帰ったりするでしょう。ここは、いい選手を育ててきたっていう伝統があるからね。

楽天も同じで、かつて稼頭央が練習したり、今は嶋(基宏)が練習したり。そこに若手がどんどんついて行ってくれたりしたら球団にもいい伝統が残っていくと思う。

松井:そうですね。山川(穂高)も一生懸命にやっていたし、それぞれの練習量に関しては二軍監督になって感じる部分も多いですね。

礒部:僕らも楽天にいるときは、朝データの整理があって、池山(隆寛)さんが早かったから朝10時には球場にいました。

そこへ、打てていない選手は来ているんです。そういう選手はコーチも使いたくなるし。いい選手を使うのはもちろんだけど、どっちにしようかと迷ったら練習していた選手を押したくなるのは、野球選手という以前に人間の常かなと思いますね。

松井稼頭央の理想の監督像は?

礒部:これからの理想の監督像はありますか? アメリカのメジャーでの経験も含めていい監督だなっていう人はおられますか?

松井:アメリカの監督は特殊なので置いておいて(笑)、東尾(修)さん、星野仙一さん、辻(発彦)さんの「ええとこどり」でいきたいですね。皆さん、厳しさも優しさもあり、自分の現役時代の経験も踏まえて、自分なりに継承して若い選手に伝えていきたいと思います。今挙げた監督さんは、これまで教わってきた中でも日本を代表するような監督だと思います。

松井 稼頭央(まつい かずお)/埼玉西武ライオンズ二軍監督。1975年大阪府生まれ。PL学園高を経て1994年西武入団。2004年から2010年までメジャー3球団を経て2011年東北楽天イーグルス入団。2018年コーチ兼任で西武に復帰し現役引退。11月から現職(撮影:風間仁一郎)

正直、自分の理想の二軍監督像については、まだ想像もつかないというのが本音です。

試合して経験してみないと、自分がどういう采配をするのかさえわからないので。

礒部:いちばん最初はピッチャーを中心に考えたらいいんじゃない? 東尾さんも星野さんもピッチャー出身で守りが強い監督だったと思いますし。

松井:それこそ、打つことは普通に教えられると思うんですけれど、ピッチャーの交代は難しいかもしれないですね。

二軍はワンポイントで使ったりしない分、采配が読めない部分もあるので。不安なのか、楽しみなのかわからない感情が入り混じっていますわ。

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