トラフグ養殖業者に差し込んだ光明 11月29日を「いいフグの日」にしたワケ

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「身欠きフグ」の解禁で取扱い拡大

実際、解禁の効果は大きかった。東京都によると、身欠きフグの解禁以前から、ふぐ調理師免許がいる店は都内に約4000店あるが、昨年の解禁以後、13年9月末までの1年間で身欠きフグを取り扱う届け出は5122件あったという。

首都圏で48店舗の「とらふぐ亭」を展開する東京一番フーズでは、流通の解禁に合わせて、12年11月に塩浜の物流センターに身欠きフグの加工場を新設。自社店舗だけでなく、流通量の拡大を見込み、他の外食店などに身欠きフグを外販するビジネスを始めた。

加工場では最大2500尾のトラフグを備蓄し、東京23区内ならば24時間以内に配送する。「軌道に乗るには時間がかかるが、興味をもってメニュー化しようというお客様は増えている」(東京一番フーズの岩成和子執行役員)という。

若男水産の前田社長は「東京の人に、大阪と同じぐらいトラフグを食べてほしい」と意気込む。寒さが徐々に深まり、本格的な鍋シーズンは目前。身欠きフグ解禁という”追い風”をとらえて、トラフグは東京都でどれだけ存在感を高められるのか。この冬は養殖業者にとっての大きな試金石となりそうだ。

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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