ライザップ、買収行き詰まりで始まる逆回転 減量ジムは好調も、買収企業が足を引っ張る

拡大
縮小

負ののれんで利益を押し上げる会計手法については、週刊東洋経済でもたびたび問題を指摘してきた。瀬戸社長は、「利益ありきではなく、バランスシートしか見ていないといっても過言ではない」と、かみ合わない。

松本氏が経営を監視

今回の決算を受けて、瀬戸社長は「グループシナジーや短期的な収益改善が見込めない事業は縮小、撤退、売却を検討していく」と明言。従来の拡大策から180度の方針転換を図る。ぱどの展開する出版事業やタツミプランニングのメガソーラー事業などが、俎上に載るとみられる。

決断を迫ったのが6月に代表取締役に就任した松本晃氏だ。松本氏は直近までカルビー会長として辣腕を振るってきたプロ経営者。

決算説明会に同席した松本氏は、「ライザップはおもちゃ箱のような会社で面白そうと思っていたが、いくつか壊れているおもちゃがある。今修繕しないと大きな問題になる」と指摘。今後は構造改革担当として、子会社の再建に本腰を入れる瀬戸社長を監視していく。

だが、復活の道筋は厳しい。本業から生み出せる営業利益の実力値は現状、減量ジムを中心に推定で100億円前後。企業買収や負ののれんにはもう頼れない。

RIZAPブランドで展開するゴルフ教室や英会話教室は先行投資の段階で、ジムに次ぐ収益の柱になるまでには時間を要する。

「通信簿でいうと5段階評価で現状は1。結果を出すしかない」と、瀬戸社長は語る。皮肉にも“筋肉質”な企業への転換を迫られるRIZAPグループ。結果へのコミットが求められている。

緒方 欽一 東洋経済 記者

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おがた きんいち / Kinichi Ogata

「東洋経済ニュース編集部」の編集者兼記者。消費者金融業界の業界紙、『週刊エコノミスト』編集部を経て現職。「危ない金融商品」や「危うい投資」といったテーマを継続的に取材。好物はお好み焼きと丸ぼうろとなし。

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