ドイツ与党と社民党が大連立で合意 欧州への「クリスマスプレゼント」

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11月27日、メルケル独首相が率いる保守系与党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と最大野党・社会民主党(SPD)は、連立政権樹立で合意(2013年 ロイター/Fabrizio Bensch)

[ベルリン 27日 ロイター] - メルケル独首相が率いる保守系与党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と最大野党・社会民主党(SPD)は27日、連立政権樹立で合意した。新政権がクリスマスまでに誕生する可能性が高まった。

メルケル首相の保守系与党が大勝利を収めた総選挙から約2カ月後の合意となった。

合意の内容は185ページにも及ぶ文書に記された。今後SPD党員47万4000人による投票で承認されることで、初めて最終合意となる。結果は12月14日に公表される。多くの党員は、メルケル首相1期目で組んだ2005─09年の「大連立」を繰り返すことに懐疑的な姿勢を示している。この大連立はSPDにとって左派の支持者を多く失う結果となった。

9月の総選挙でメルケル氏率いる保守系与党は勝利したものの、過半数には満たなかったため、SPDとの連立協議を余儀なくされた。

欧州連合(EU)加盟諸国は、この日の連立合意に安堵(あんど)することは確実だ。長引く連立協議は、ユーロ圏の「銀行同盟」の設立などの取り組みに遅れを生じさせていた。

メルケル首相を含む党指導部は27日に記者会見を行い、合意の詳細を明らかにする。

合意に向けて、メルケル首相はSPDが要求していた1時間当たり8.5ユーロの最低賃金導入を受け入れた。ただし既に合意してる2016年末までの労使協定には適用せず、完全実施は17年からとなる。

現在67歳となっている法定退職年齢を、45年間勤めた人には63歳に引き下げることでも合意、また1992年以前に子供を育てていた母親への年金も引き上げる。

関係筋によると、今後4年で230億ユーロの歳出拡大でも合意した。また国内総生産(GDP)の3%を研究開発に当てる。一部の道路料金引き上げなどで、今後4年で交通インフラ投資を大きく引き上げるとしている。

一方、欧州政策では、首相が主張する緊縮政策の推進が維持される。銀行同盟の構成要素である単一銀行破綻処理制度については、各加盟国が銀行破綻処理に一義的な責任を負うとの考えで一致した。

SPDは選挙戦で、欧州政策では成長に重きを置く意向を示していた。ただ、助言会社テネオ・インテリジェンスの政治アナリスト、カルステン・ニッケル氏は、SPDが「国内の政治的コンセンサスでは、メルケル氏が主張する道筋から大きく逸脱することは許されない」と気づいたと指摘する。

閣僚ポストの発表はまだないが、ショイブレ財務相は続投が予想されている。

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