25歳になったら賃貸に住むのをやめるべきだ やっぱり持ち家が将来を安泰にする14の理由

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日本人は借金に消極的な人が多いが、今の住宅ローンはまだまだ借り得な状態にある。マイホームの住宅ローン金利は、ネット銀行なら0.5%を切る水準にある。さらに、住宅ローン控除というローン残高の1%を所得税還付する軽減税制が適用される。金利0.5%で1%の税還付をすると、0.5%のマイナス金利になる。住宅ローンを借りると、金利を払うどころか、お金がもらえるのだ。

『独身こそ自宅マンションを買いなさい』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

話を簡素化するために購入価格=ローン借入額にすると、マンションの利回り4%(賃料を払うなら、物件価格の4%相当になるから)に0.5%のマイナス金利なので、マイホームは実質4.5%の利回り物件になるのだ。

これだけ金利が低いと、元本の返済は毎年2.7%ほど減っていく。マンションの値下がり率は年2%なので、10年経って売れれば、これらの差分である10年分7%のプラスが生まれることになる。これだけでも購入する十分な理由になる。

もし、物件価格が値上がりしないにしても、価格が下がらなければ、10年で27%の資産形成したことになる。4000万円で購入していれば、1000万円以上になっている。こうした含み益に関して自宅だけは3000万円まで無税となっている。不動産投資の場合、こうした値上がり益には20~40%程の税率が課せられる。これだけ、日本は持ち家取得を促進している国なのだ。この制度を使わない手はない。

持ち家が将来を安泰にする「14の理由」とは?

日本の若者が直視しなければならない、住まいに関係する現在までの事象と、ほぼ確実な未来を挙げておこう。

・日本の持ち家率が非常に高いのは、持ち家促進税制で優遇しているからだ
・持ち家と賃貸では、超低金利と優遇税制で持ち家が圧倒的に有利である
・直近10年間の持ち家と賃貸の資産格差は3400万円に及ぶ
・都市圏の単身者の約半数が地方出身であり、実家が首都圏にない
・定年は60歳で、ほとんどの人に退職金は出ない
・定年後再雇用を希望すれば65歳が実質定年になるが、年収は約半分に下がる
・年金支給年齢は68歳が検討されており、金額も多くはない
・90歳までは生きる可能性が高い
・まともな賃貸に住み続ける財力・年収が老後にはない
・定収のない高齢者は、賃貸の入居審査で落ちることが多い
・実家に帰っても、居場所があるとは限らない
・実家は築年が耐用年数を超えていて、住むには状態が悪い
・社会人の間に培った友達は、働いてきたエリアに集中する
・老人ホームに入るには、かなりの現金が必要となる

こうなると、自然と持ち家取得を考えなければならなくなる。ならば早過ぎることはない。まずは持ち家取得と結婚は切り離そう。独身ほど、家を買って資産形成しておいたほうがいい。それは自分と将来の家族のためなのだ。

沖 有人 不動産コンサルタント

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おき ゆうじん / Yujin Oki

1988年、慶應義塾大学経済学部卒業後、監査法人系・不動産系のコンサルティング会社を経て、1998年に現スタイルアクトを設立。住宅分野において、マーケティング・統計・ITの3分野を統合し、日本最大級の不動産ビッグデータを駆使した調査・コンサルティング・事業構築を得意とする。設立当初から運営する分譲マンション価格情報サイト「住まいサーフィン」の会員数は30万人以上。『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)、『タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい』(朝日新書)など著書多数。

 

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