イクメンを期待せず、カカァ天下を目指すべし 結婚前に抱いていた理想の夫婦像を捨てよ

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ガミガミ叱るのは逆効果なだけ

多少のご縁があって、私は今日たまたま、ご相談を聞かせていただく立場にいますが、かく言う私も実は、子供をガミガミ叱るだけの時期がありました。些細なことに対してもガミガミ叱っていました。あとで何度も思い返しては胸が痛む時期ですが、他の問題で上手くいかない不満なども全部、弱い立場の子供に八つ当たりしていただけだったと認めざるを得ません。

ガミガミ叱るのは逆効果しかなく、誉めて育てるほうが効果が大きいと頭では理解していても、なかなか上手くいきませんでした。これもたまたまですが私の場合、任されていた仕事の責任が大きくなり、それにかかりっきりになるあまり、子供たちの生活の細部にまで構っていられなくなりました。

我が家から私のガミガミが消えました。子供たちの行儀が急に良くなったとは思えません。私の関心の多くが他に行き、ガミガミの対象が私の目に入らなくなったのです。それで家庭の秩序などがもっとひどくなったわけでもありませんので、ガミガミは何の効果もなかったことになります。

子育て中こそ、母親自身の楽しみを持とう

また私は子育て中に、精神的にぎりぎりになった時期がありました。私は大好きな新聞を読む時間も捻出できなかったその時期に、今思い返しても不思議なのですが、全25巻もある日本の古典文学を読み始めたのです。別の世界に入って過ごす時間が欲しいと思いました。全く違う世界へできるだけ長く導いてくれる物語として、読みきれるかどうか判らないのに長編の大作を選びました。

エピソード満載の諸行無常の世界に私はどっぷりはまり込み、続きが楽しみになって、お年寄りから赤ちゃんまで寝静まる時間が毎日待ち遠しくなりました。眠る時間が減ったのにもかかわらず、私のひそかな楽しみは、日々の生活にもゆとりを運んでくれていました。「まず自分が変わること」の典型のような体験です。

こんなことを書くと綺麗ごとすぎると思われないかと躊躇しておりましたら、この原稿を書いておりました日の新聞の朝刊に、作家の窪美澄氏の「子育て中こそ読書しよう」というコラムをみつけました。

「小さな子供を育てている時ほど、、、見ている世界は狭くなりやすい。心を遠くに飛ばしてくれる何かが必要だ。人の心にはなぜかフィクションでしか癒せない部分があるような気がしている、、、」「小説で架空の誰かの感情を体験することで、自分のどこかが、ほんのかすかに軽くなる、、、」。

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