「本当に就職に強い女子大学」ランキング 実就職率と有名企業400社への就職率を列挙

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23位の東京女子大学は、基礎学力や専門知識を養成する「正課教育」と、年間150日を超えるキャリアガイダンスや課題解決型ワークショップなど「正課外教育」の両輪で、高い実就職率を実現している。

ちなみに、前出の日本女子大学と東京女子大学とともに、東の“女子大御三家”の一つである41位の津田塾大学の実就職率は89.7%で、女子大全体の平均実就職率を下回る。同大は、就職者の92%が第一志望または第二志望の企業に就職する就職力の高い大学だが、進学など一般企業への就職とは異なるキャリアを選択する学生が多いことが、実就職率が伸びない要因となっている。

西の“女子大御三家”でも、実就職率が女子大の平均値に届かない大学がある。京都女子大学は92.9%で21位に入ったが、神戸女学院大学は一般企業への就職者が少ない音楽学部を擁することが大学全体の実就職率にも影響しており、88.7%で50位だった。

同様に56位の同志社女子大学は、学部系統の特性として就職状況が厳しい薬学部を持っていることもあり、実就職率は86.9%にとどまる。名門女子大に限らず、就職状況の芳しくない学部系統を持つ大学は、実就職率が上がりにくい傾向にある。

銀行の採用抑制が女子大の就職率に影響

東西の女子大御三家の中には、さまざまな要因から実就職率ランキングの上位に入らない大学もあるが、有名企業に限定したランキングになると話は別だ。

有名企業400社の実就職率を見ると、東京女子大学が3位で、日本女子大学が4位。両校ともメガバンクに代表される金融業や航空業が就職先の上位に並ぶ。

6位の津田塾大学の有名企業400社の就職先を見ると、製造業やコンサルティング会社、航空業、金融業などバラエティに富む。同じく8位の神戸女学院大学、10位の同志社女子大学、12位の京都女子大学の3校は、いずれも有力な金融業の名前が並ぶ。

有名400社の実就職率ランキングには、東西の女子大御三家以外にも、1位の聖心女子大学を筆頭に、学習院女子大学(2位)、フェリス女学院大学(5位)、白百合女子大学(7位)、昭和女子大学(9位)、奈良女子大学(11位)、大妻女子大学(13位)など、伝統校が並んでいる。ほぼすべての大学が、メガバンクを中心とした金融業や航空業を中心に多くの学生が就職している。

有名400社の実就職率ランキングでは、22位の共立女子大学までが10%以上で、卒業生の1割以上が有名企業に就職していることになる。ただ、これらの大学の実就職率を見ると、17校が前年を下回っている。上回っているのは、フェリス女学院大学、昭和女子大学、奈良女子大学、金城学院大学(15位)、藤女子大学(16位)だけだ。この大きな要因は、女子大の有名400社の実就職率を支えていたメガバンクが、2018年卒の採用者を大幅に絞ったことによる。

こうした有名400社の実就職率が下がる流れは、今後、女子大の就職が厳しくなる予兆かもしれない。AI(人工知能)に代表される情報技術の飛躍的な発達により、女子に人気の高い事務職の間口が狭くなると言われており、すでに2018年卒の段階で有名企業の実就職率が下がっている。

リクルートキャリア就職みらい研究所の「就職プロセス調査」によると、今年就職活動をした2019年卒の内定率の状況は、就活のピークが過ぎた直後の7月1日時点で、男子が前年同時期を7.2ポイント上回る84.4%だったのに対し、女子は前年を2.7ポイント下回る78.8%だった。

正式内定が出る10月1日時点の内定率は、男子93.9%、女子が94.0%と、ほぼ同じになったが、就活の山場で女子が苦戦していたのは事実。これは、共学校も含めた女子学生全体の傾向だが、女子大の就職に対する影響も少なくないだろう。

ここに、経団連が策定してきた、「採用選考に関する指針」の廃止による混乱も予想される。2020年卒以降も、これまでと同様、3月に広報活動解禁、6月に選考が始まるスケジュールになることが決まっているが、企業はフライング気味だ。すでに現3年生にアプローチを始めているという声が聞こえてくる。

就活環境が激変する中、女子大はこれまでの就職力を維持できるのだろうか。女子大の教育とキャリア支援の底力が試されるのは、もうすぐなのかもしれない。

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