セールスフォースが新規顧客を続々と開拓 フィリップスも顧客に。躍進の秘密は顧客第一主義

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多くの企業経営者が集まるイベントを成功させるセールスフォースは、シリコンバレーのソーシャル的存在でもある。かつてeBayのトップからカリフォルニア州知事選に立候補したメグ・ホイットマン氏を積極的に応援していたのはベニオフCEOだった。

 選挙後はあまり公の場面に出ず、2011年にCEOに就任したヒューレット・パッカードの社内改革に専念していた ホィットマン氏がドリームフォースに前触れもなく出てきたのも、ベニオフCEOの誘いがあったからだろう。

ヤフーのマリッサ・メイヤーCEOや、米政権と関係が深いフェイスブックのシェリル・サンドバーグCOOがベニオフCEOとの対談に応じて出席するのも、ベニオフ氏とのコネクションを重要視しているからだ。

LINEからも学ぶ

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ヤフーのマリッサ・メイヤーCEOも登壇

また、ベニオフCEOは最新技術に関する対応も早く、フェイスブックが流行っていることを受け、自社のサービスプラットフォームに類似のSNS機能を持つ「チャター」を取り入れた。

最近では部下からLINEを紹介され、すぐに利用を開始。「マークはキティちゃんのスタンプ・マークをみんなに送って、試していた」と、設立時からの社員であるエグゼクティブ・バイスプレジデント、クラレンス・ソー氏は語っていた。「セールスフォース1」を設計する際には、LINEのサービスも参考にしたという。

今回のドリームフォースは、モバイルへの対応が目玉だった。しかし、次の技術といわれるウェアラブル・コンピューティングに向けても、セールスフォースは積極的に動いている。「グーグルグラスへの対応など、さまざまな開発を進めている。次のドリームフォースでウェアラブル対応のプラットフォームを発表できると思う」とベニオフCEOは語った。

新技術に積極的に取り組む理由も、顧客企業のニーズに応えるため。その点でも、顧客第一主義は徹底している。

Ayako Jacobsson ジャーナリスト

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アヤコ・ジェイコブソン / Ayako Jacobsson

山口県徳山市生まれ、広島市で育つ。東京都立大学(現首都大学東京)法学部卒業、英ケンブリッジ大学、コロラド大学ボルダー校で学ぶ。在学中、AP通信東京支局で編集アシスタント、卒業後はビジネステレビのディレクターとして「ウォール・ストリート・ジャーナルを読む」「製造物責任法」等を担当。その後、読売新聞英字新聞記者として、通信、テレビ、映画、ホテルなどの業界を取材した。ペルーのフジモリ元大統領へのインタビューも行った。1999年頃からシリコンバレーに拠点を置き、取材・執筆活動を行っている。

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