サプリ、トクホの嘘と本当 爆発する1兆7000億円市場に死角はないのか

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中小ひしめくサプリ 再編はすでに始まった

これに対して、今後の成長が見込まれるのは、皮肉なことに法制度が未整備のいわゆる健康食品であるサプリだ。機能と種類が豊富であるほか、売上高原価率が非常に低く、中小企業でも参入が容易だ。加えて、トクホのように数億円する莫大な開発費用や期間もかからない。

日本通信販売協会によると、サプリを販売する会員企業のうち、サプリ事業の売上高が1億円未満の企業は約3割を占め、同10億円未満で見ると、その割合は約6割にも上る。

そんな中、サプリを中心とした大企業がゴロゴロしているのが九州だ。サプリ王国と呼べそうなプレーヤーの多さだ。「ケール青汁」のキューサイや、「えがおの黒酢」のえがおなど単品突破で伸びてきた企業が目立つ。通販中心のため、少ない資本での開業が可能。加えて、多くは低い原価を武器に、浮いたおカネを使ってテレビや全国紙などで一気に広告宣伝をかけ、知名度を上げるというビジネスモデルだ。

ただ最近は売上高580億円のサントリーウエルネスなど大手が攻勢を一段と強めている。帝国データバンク福岡支店によると、12年度の九州・沖縄地区での健康食品メーカーの売上高上位50社の合計が09年度の調査開始以来、初めて前年を割り込んだ。

10年には大手ボトラー会社のコカ・コーラウエストがキューサイを買収、ヒアルロン酸サプリ「皇潤」で有名なエバーライフも12年に韓国のヘルスケア大手であるLG生活健康の傘下に入るなど、業界再編はすでに風雲急を告げている。

帝国データバンクの調査担当者は「大手の飲料メーカーや医薬品メーカーなどが健康食品業界への参入姿勢を強めており、今後も競合は一層厳しさを増すだろう」と指摘する。

そうなればなるほど、ネットも含めた広告合戦が激しくなるのは必至だ。ヒートアップした結果、虚偽まがいや誇大な広告が横行するおそれがある。

そんな中、図らずも政府の成長戦略で決まったのが、いわゆる健康食品の表示規制緩和だ。サプリ大国・米国の制度を参考に14年度にも解禁される方向だ。

次ページ14年度にも表示緩和 いいかげんな業者は淘汰
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