世界に出たい企業と、"出国拒否"の社員たち 海外赴任から逃げきれますか?

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日本プロ野球シーズンを劇的なフィナーレで飾った、東北楽天イーグルスの優勝。その立役者が、田中将大投手なのは間違いありません。

シーズン成績は24勝無敗。さらにポストシーズン、日本シリーズと、打たれた試合はあったものの、魂を込めた投球で活躍。最終戦も救援として連投して胴上げ投手となりました。この大活躍には口うるさい野球評論家たちも、「獅子奮迅する姿は伝説的」と称賛しました。

そんな田中投手は、昨年からMLB(米国メジャーリーグ)移籍を希望し、この冬に移籍の可能性が高まっています。まさに日本を代表するエースの海外挑戦です。ただし、実現を阻む障害がひとつ発生。それがポスティングシステムです。

これは、FA(移籍先を選ぶ権利)を保有していない選手が、MLBと交渉先を決める入札制度のこと。ダルビッシュ投手や松坂投手など何人もの日本人プレーヤーが、この制度をつかってメジャー挑戦を実現してきました。ところが制度の脆弱性や入札金額の高騰など問題が指摘されてMLB側から破棄され、2012年末に失効。そのため、田中投手が「メジャーに行きたい」と手を挙げることがままならない状態です。何とか調整を進めて田中投手の夢が実現することを願いたいものです。

「海外転勤だけは勘弁して」と懇願する人々

とはいえ、田中投手の海外挑戦に対して、世間の誰もが共感するわけではないようです。

「日本国内で活躍していれば十分に稼げる。メジャーの厳しい環境にさらされれば、何が起きるかわからない。ケガや環境に適合できないリスクを考えれば、メジャー挑戦は反対」

と、日本で着実に活躍すべきと主張するのは、食品メーカーに勤務しているGさん(26歳)。海外での仕事に、誰もがあこがれや夢を抱くとは限らないようです。さて、あなたは田中投手のように、海外挑戦してみたいですか? たとえば、海外子会社への出向や海外支社への長期駐在。2~3日の短期出張ではありません。

「大いなるチャンス、海外の仕事は喜んで引き受けます」

でしょうか? それとも

「勘弁してください。日本を離れて仕事をするなんて、ありえません」

と引いてしまうでしょうか?

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