「8月総裁選論」が出始めた麻生政権の末期症状

「8月総裁選論」が出始めた麻生政権の末期症状

塩田潮

 度重なる不用意発言などで、麻生首相の求心力が急低下している。
 在任2ヵ月余なのに、与党内からも「早くも政権末期症状」という声が上がり始めた。首相の胸算用は、第二次補正予算などの懸案を来年3月までに片付け、その成果を掲げて4月に解散という筋書きだが、そこまで政権が持つのかという見方もある。自信家の首相が放り投げ辞任するとは思えないから、末期症状のままだらだらと政権が続くという展開になりそうだ。

 ところが、自民党の一部で「8月交代論」を模索する動きが出始めた。自民党総裁の任期は3年で、現在は2006年9月の安倍総裁登場時からスタートしている。福田前首相も麻生首相も、安倍元首相の残余任期を務める総裁で、来年9月に満了する。そこで任期満了に伴う総裁選を1ヵ月程度繰り上げて8月に行い、総裁を麻生首相から別の人物にすげ替える。お祭騒ぎの総裁選を演出し、新総裁(新首相)のご祝儀人気を当て込んで、就任直後、つまり9月の衆議院議員任期満了の直前に解散・総選挙に打って出る、というのが「8月交代論」のシナリオだ。解散前の麻生政権の安楽死と新首相擁立、総選挙の劣勢予想打破による与党継続にはこの手しかないと密かに説く自民党議員もいる。

 実際に8月総裁選実施論が勢いを増せば、交代の危険性を認識した麻生首相が「どうせ8月までの命なら、その前に一か八かで解散を」という気になる可能性は小さくない。先に行けば行くほど危ないと判断すれば、4月どころか、1月、あるいは今年のクリスマス解散も視野に入れ始める。
 だが、そのときは自民党内で「解散に突っ走る首相」と「『殿、ご乱心』と叫んで背後から首相を羽交い締めにする反対派」の綱引きが始まるだろう。もしかすると、その攻防が麻生政権の今後を占うカギとなるかもしれない。
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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